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外国為替から見るボリス・ジョンソンの孤独

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 これは今年の夏のユーロ・ポンドのチャートですが、ジョンソン首相を始めとするBrexit推進派の孤独が表現されています。

 「 英ジョンソン政権は、議会下院が可決した、合意なき欧州連合(EU)離脱の回避を狙った法案について、上院(貴族院)で阻止することを断念した
 同法案が上院も通過して成立すれば、EUと再交渉した上で離脱案が10月半ばまでに議会で承認されなかった場合、ジョンソン首相はEUに離脱の3カ月延期を要請しなければならない
 ジョンソン首相は、離脱の再延期には反対で合意なき離脱も辞さない姿勢を示していた。
 上院の保守党議員は、法案の可決を阻止する方策を模索していたが、5日未明、法案への反対を取り下げると表明した。」

英ジョンソン政権、上院での離脱延期法案阻止を断念 - ロイター

 上院は親EU派が主流なので、結論はわかっていたとはいえ、ジョンソン首相はこれで完全に追い詰められました。このお陰で、今年いっぱいはBrexitは無理でしょう。下院でも保守党は少数与党であり、ろくに法案を通すこともできません。また、法改正により、2011年には首相の議会の解散権が失われているので、議会を解散するのも下院議員の三分の二が必要とされます。このままいけば、死に体のジョンソン政権が総選挙までだらだら存続することになります。

 そこで、改めて上のチャートを見ていただきたいのですが、今年の夏は、ひたすら、ユーロが買われ、ポンドが売られてきました。ポンドはかつてジョージ・ソロスに売り叩かれた経験があるので、その時を彷彿とさせます。これだけ、ポンドを売ったと言うことは、EUサイドが何としても英国を離脱させたくなかったという意思の表現であったとも言えるでしょう。与党内もどんどん造反がすすみ、HardBrexitを狙っていたジョンソン首相にとっては大きなショックであったに違いありません。

 しかし、英国民の世論はといえば、ジョンソン首相に対する支持率が上がっていることからも、Brexitには賛成であることは明らかです。ポンド売りによる恫喝、そしてBrexitを支持する国民の支持を考慮するならば、今回の一件は離脱を支持する英国民を酷く憤慨させた可能性が高いと言えます。ですから、何としても離脱させようとする動きも今後ますます活性化すると考えられます。

 マーケット的には、ボリスが追い詰められるほど、ポンドが上昇することになるでしょう。また、それに引きずられる形でユーロも上昇するものとみられます。あと2週間ぐらいはこのままという感じです。