FirstHedge 明日の投資情報

投資を搦め手で分析します。

本当に危ないのは欧州経済ではないのか

決定版 インダストリー4.0―第4次産業革命の全貌

 率直に言って、欧州経済の方が米経済よりも危機的状況にあるのではないでしょうか。アメリカや日本よりも、ドイツ経済の方が輸出依存度が高かったはずです。対中貿易が縮小する中で、ドイツ経済の不調がもうすこしメディアを通して伝えられても良いはずなのですが、アメリカ経済の不調の方が積極的に伝えられる傾向にあるようです。

  で、今回取りあげるのはシーメンス社です。

「 シーメンスは債権を発行することでお金を稼いでいるシーメンスによると、マイナス金利の35億ユーロ以上の債券が発行されたとのことだ。これらは、2年債、5年債、10年債、15年債である。
 投資家の需要は供給の4倍以上であり、その一部は報われている。2年債の発行利回りはマイナス0.315%で、5年債の利回りはマイナス0.207%であったと、と同社は発表している。より期間の長い債券だけが、利払いを伴う。かくして、CFOのラルフトーマスは、グループの資金調達のコストはかつてないほど安価になったと語った。
 通常、資本市場で債券を発行する場合、企業は投資家に利息を支払わなければならない。しかし、長期間、低金利が続いたために、状況は逆転した。投資規制のために債券に多額の投資をしなければならない大規模投資家は、利回りを求めて市場のリターンを求めています。彼らはますます少ない利子で、あるいは支払いさえして解決している。
 投資家が満期までマイナス金利の債券を保持している場合、彼らはお金を失います。しかし、彼らは金利が下がり続けると主張している。そして、彼らの債券は価格はさらに上昇する。ドイツの州政府も連邦債を発行することで資金を獲得している。」

Siemens: Dax-Konzern macht Schulden zu Geld - SPIEGEL ONLINE

 企業がマイナス金利の債権を発行して儲けるというのですから、非常に危ないものを感じます。リーマンショックのような危機が襲えば、債券市場は崩壊します。その時、金利は急上昇し、債券価格は大幅に下落します。とすれば、ドイツが世界恐慌の嵐に襲われれば、その被害は我々の想像を超える規模だと言えるでしょう。

 ですから、こうした欧州経済の危機的状況がメディアで取りあげられていないと言う事態そのものが大きな脅威であると思えるのです。とにかく、欧州経済には要注意です。