FirstHedge 明日の投資情報

投資を搦め手で分析します。

プーチンはウクライナ進攻できないだろう

 

 せっかく10万人以上の兵員を動員したにもかかわらず、プーチンの利益はほとんどなさそうです。で有れば、いっそのこと軍を侵攻させれば良いのですが、そうするとロシア経済が完全にストップしてしまいます。

 ただでさえ、ノルド・ストリーム2の運用が頓挫しているところで、ここで軍事作戦に出れば、ロシアは完全に世界の孤児になるでしょう。

「 9日に始まる米欧とロシアの安全保障を巡る一連の協議を前に、ウクライナ東部紛争の打開が焦点に浮上している。米欧ロとウクライナが断続的に協議し、停戦と和平に向けた2015年の「ミンスク合意」の履行を模索している
 一連の協議はロシアがウクライナとの国境近くに部隊を集めて高まった軍事的緊張を緩和する目的で開かれる。米国は9日からジュネーブで開くロシアとの戦略的安定対話にシャーマン国務副長官らを派遣する。ロシア側は外務次官級で調整している
 ロシアは北大西洋条約機構NATO)の東方への拡大停止や東欧からの事実上の軍撤収などを求める合意案を示しているが、「提案の多くは回答に値しない」(サキ米大統領報道官)と米欧側は応じない姿勢だ。
 ロシア軍の支援を受ける親ロ派武装勢力ウクライナ政府軍が対峙するウクライナ東部紛争は欧州の安保体制と並ぶ協議の主要テーマだ。
 NATOの東方拡大問題などでの妥協が困難とみられている以上、東部紛争問題でなんらかの歩み寄りを図ることができれば緊張緩和につながるとの思惑が各当事者にある。
 4~6日にはウクライナ欧州連合EU)のボレル外交安全保障上級代表が訪れた。6日には独仏ロ代表がモスクワで会合を行う。2日にはバイデン米大統領ウクライナのゼレンスキー大統領と電話で対応を話し合っていた。
 ロシアはウクライナミンスク合意を履行せず、武力解決を試みているとの立場だ。プーチン大統領は昨年12月の記者会見で、ミンスク合意が「唯一可能(な解決策だ)」と主張した。
 合意履行の最大の争点は親ロ派占領地域に、広範な自治権を持たせる「特別な地位」の付与と同地域での地方選の実施、国境管理を巡る項目だ。
 ウクライナは、親ロ派を支援して侵攻してきたロシア軍の撤収やウクライナによる国境管理が選挙実施の条件だと主張してきた。憲法改正や関連法採択による「特別な地位」にも、事実上の連邦制とロシアによる実効支配につながると反発してきた。
 ミンスク合意はそもそも「紛争の勝者であるロシア側に優位な内容」ウクライナの政治専門家ワジム・カラショフ氏)で、ウクライナには不満が強い。独外相は15年末、停戦を監視する欧州安保協力機構(OSCE)が選挙時に国境を管理するといった妥協案を提示したが実現していない。
 ゼレンスキー氏は昨年12月10日、ロシアが一方的に併合したクリミア半島問題も含めた紛争解決の方針を国民投票で問い、プーチン氏と直接会談で事態を打開する考えを示唆した。ウクライナの後ろ盾の米国が東部地域の安定へどう動くかも注目される。
 ブリンケン米国務長官は5日、ドイツのベーアボック外相との共同記者会見でミンスク合意を含む東部紛争の平和的解決に向けた外交努力について「われわれはこのプロセスを明確に支持する」と述べ、独仏と協力していく考えを強調した
 一方、ロシアがウクライナに侵攻した場合の対応について国務省のプライス報道官は4日「ロシアの経済と金融システムに多大な代償を与える強力な経済措置で対応する」と改めて警告した。
 具体的なメニューとしてはドイツとロシアを結ぶ新たなガスパイプライン「ノルドストリーム2」の稼働阻止や、世界の銀行の送金システムを運営する国際銀行間通信協会(SWIFT)からロシアを排除する案が浮上する。ロイター通信はスマートフォンや航空機、自動車などの部品の対ロ輸出を停止する対抗措置も検討していると報じた。」

米欧ロがウクライナ情勢を断続協議、東部紛争が焦点に: 日本経済新聞

この記事を読むだけでは、米仏独がウクライナに犠牲を迫るようにも感じられます。しかし、ウクライナがあくまで拒否すればどうするのでしょうか。拒否するからと言って見捨てることは出来ないでしょう。従って、米軍こそ出さないもののアメリカからのジャベリンなどの武器提供は続くことでしょう。そうすれば、仮にロシア軍が侵攻したとしてもロシア軍の被害は大きなものになるでしょう。

 本音のところで言えば、今回のウクライナ進攻騒動もプーチン本人の政治的延命のための選挙対策でしか有りません。進攻しても多くの犠牲が出れば、総てはおじゃんです。恐らくプーチンが望むようには協議は進まないでしょう。