FirstHedge 明日の投資情報

投資を搦め手で分析します。

結局No Dealに終わるBrexit

週刊ニューズウィーク日本版 「特集:ハードブレグジット 衝撃に備えよ」〈2019年8月6日号〉 [雑誌]

 いったんはEUサイドとの合意が実現しましたが、英国議会はまとめられなさそうです。

  産経新聞は次のように伝えています。

「 欧州連合(EU)離脱をめぐり、英国とEUは17日、離脱協定案を実務レベルで合意し、10月末の離脱に向けて大きな山を越えた。だが、EUから円満に離脱するには、英議会で協定案の承認を得ることが必要だ。英議会で承認されなければ、EUと合意した協定案を議会で3回否決されたメイ前首相の二の舞いになりかねない。
 「(EUと合意した協定案を)支持できない」
 ジョンソン氏率いる与党・保守党に閣外協力する英領北アイルランド民主統一党DUP)は17日、こう強調した。
 ジョンソン氏は、異例ながら土曜日の19日に議会を招集し、EU首脳会議で合意した協定案の是非について採決する。英議会では、下院で議長団などを除いた実質過半数(320)の賛成を得られないと協定案は可決されない。

  保守党の議席数は現在、DUPと合わせても半数に満たないDUPは10議席ながら、アイルランド問題で発言力が強く、野党への影響力もあるとされる。ただ、最大野党・労働党のコービン党首は17日、協定案を支持しないと話した。
 DUPが離脱の可否の鍵となるだけに、ジョンソン氏はEUと交渉しつつ、DUP幹部とも話し合いを進めてきた。しかし、EUに譲歩した結果、最終的にDUPの意向に沿わない結果になったとみられる。
 メイ氏もDUPの賛成を得られず、協定案を否決され続けただけに、英BBC放送は「ジョンソン氏も同じ運命をたどるとEUは心配している」と指摘した。」

ジョンソン英首相、メイ氏の「二の舞い」か 与野党の賛同得られず(1/3ページ) - 産経ニュース

 結局、北アイルランドDUPを納得させることは不可能なようです。仮に説得することができたとしても、少数与党であり、この段階で円満離婚は不可能になります。

 ただ、離婚延期というオプションも用意されていたはずなのですが、そちらも、フランスのマクロン大統領がダメ出しをしています。

「 フランスのマクロン大統領は、ジョンソン英首相と欧州連合(EU)が合意した離脱条件を英議会が19日に否決するのであれば、英国に離脱期限の再度延期を認めるべきではないと述べた
 マクロン氏はブリュッセルで行われたEU首脳会議後の記者会見で、「新たに延期が認められるべきだとは思わない」と言明した。」

マクロン氏:英議会がEU離脱合意案否決なら、再度延期は認めない - Bloomberg

 ですから、英国がBrexit延期を要求しても、フランスは認めない、つまり、No Dealに終わるということです。

 そして、英国内とEU領内であるアイルランドは消費税率などが異なります。その点の調整は全く進んでいません。こうした事情を考慮するなら、No dealしかありえないことになります。