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今月末には英国はEUを離脱する

欧州 絶望の現場を歩く――広がるBrexitの衝撃

 前回お伝えしたように、これで決着がつきそうです。

 「 英議会は19日、ジョンソン首相が欧州連合(EU)と合意した離脱協定案について、離脱延期の要請を強制する修正案を可決した。
 ジョンソン首相は英議会から離脱案の正式な承認が得られなければ、ロンドン時間19日午後11時までにEUに対し、来年1月31日までの離脱期限延期を書面で要請するよう法律で義務づけられている。
 修正案は元保守党のオリバー・レトウィン議員やハモンド財務相が支持し、16票差で可決した。修正案は離脱協定案の実施に必要な全ての関連法が議会で成立するまで協定案の法的承認を遅らせる内容で、両議員は10月末の合意なき離脱を阻止する保険的措置だと説明していた。」

英議会、首相にEU離脱延期要請を強いる修正案を可決 - Bloomberg

 英国民一般にとって見れば、合意の上でのBrexitが望ましいのでしょうが、実際の所、英国女王を含む英国のエスタブリッシュメントの一部は、早くEUから離脱しなければ危ないと考えたのが、今回の騒動のきっかけでした。

 確かに漁業権の問題など、英国がEUに加盟していなければ起こりえなかった問題もあります。それでも、英国が懸念したのはドイツのメルケル首相のファナティックな姿勢であったと考えられます。ギリシャ債務危機の際には、これでもかというほど、ギリシャを批判しました。その背後でドイツは膨大な貿易黒字を挙げていたにもかかわらずです。とどめはシリア内戦に端を発する難民受け入れ政策でした。EU圏内の難民問題はその後各国の政府に重荷になりました。このままドイツの暴走につきあえば、英国が滅びてしまうと考えてもおかしくはありませんでした。

 そうした英国の姿勢に、内心では深い復讐心を抱いているのが、ドイツとフランスです。英国が抜けるとEUの財政は緊迫します。ですから、何としてもEUから離脱させたくないというのが独仏の本音です。英国は通過が別立てですから、他の諸国よりは離脱が容易です。そんな英国が許せないのです。ですから、離脱は年末になるという噂も流れていたのです。

 ジョンソン首相にしてみれば、EU空の離脱を図りたくても、少数与党の議会で解散もできず、全く身動きがとれない状況で、ブリュッセルと交渉していたのです。アイルランドとの最低限の交渉で合意を得たのですから、一気に英国議会での承認を獲得しようとしたのですが、それが、今回叶いませんでした。これで、年末まで離脱を延長するという申し出を英国がだせば、独仏の思惑通りと言えます。

 ただ、フランスのマクロン首相は、延長は認めないと述べています。ですから、ここが最後の希望ということになります。フランスでなくても、どこか一カ国が延長に反対すれば、その段階でNo DealのBrexitは完了します。現段階ではその可能性が最も高いと判断できます。つまり、今月末で英国がEU離脱を果たす可能性はむしろ高まったということです。それでも、このような状態をだらだらと英国に続けさせた方が良いと独仏が考えるならば、このまま延長になるかも知れませんが。