メルケルの後継者
自分が望む後継者が選出されたことで、移民政策での失敗が自らの窮地を生み出したことを忘れてしまったようです。
「 ドイツ与党・キリスト教民主同盟(CDU)は7日の党大会で行った次期党首選で、メルケル首相の側近でもあるクランプカレンバウアー幹事長を選出した。首相にとっては厳しい一年となった今年の最後に、ようやく望ましい結果を手にした。メルケル氏が4期目の首相任期を全うする可能性は一段と高まった。
党首選はクランプカレンバウアー幹事長とメルケル首相のかつての政敵で米ブラックロックのフリードリヒ・メルツ氏との決選投票に持ち込まれ、517対482でクランプカレンバウアー氏が勝利した。CDUの女性党首はメルケル氏に次いで2人目となる。
メルケル首相が10月に表明した通り2021年に4期目を終えて退任すると、クランプカレンバウアー幹事長が首相候補として最も有力な位置につける。」
独与党CDU、首相側近のクランプカレンバウアー氏を党首に選出 - Bloomberg
そもそも、メルケル首相が2020年まで首相の地位にとどまれるかどうかが問題なのです。徐々に削られていく支持率に、現行のCDUは対抗する手段を持たないというのが現状です。ミニメルケルがCDUの党首に就いたとしても、その前途は真っ暗です。
移民政策に関しては転換を明言していますが、クランプカレンバウアー次期党首がメルケルほどの政治力を行使できるかは疑問です。あるとすれば、移民政策の抜本的な転換ですが、それはドイツの国策の大転換を意味します。移民政策を維持してきたCDUには自己否定にほかなりません。そもそも、メルケルが首相にとどまることとは別なのですが。
ただ、従来の路線の継続はほぼ不可能であることに変わりはありません。したがって、メルケル首相は2020年まで政権を維持できる可能性は極めて低いといわねばならないでしょう。長らく政権を担ってきたCDUが空中分解するのも、早ければ1年内に始まることでしょう。