メルケル首相、来週にも退陣か (6月18日追記あり)
ドイツ連立政権内部でメルケル首相と内相が対立しているようです。その結果、連立政権からCSUが脱退しそうな勢いです。メルケル首相の辞任は、ヨーロッパを恐怖で包むことになるでしょう。(6月18日追記あり)
「ドイツのカイ・ウィテッカー(Kai Whittaker)議員によれば、ドイツのメルケル首相は、来週にも、連立政権内部の移民政策の対立から、ヨーロッパの中心での力強い地位を失う可能性がある。
BBCの番組World at Oneで、ウィッテッカー議員は、メルケル首相とホルスト・ゼーフォーファー内相の対立が、来週末までに「新たな政治的状況」を生み出しかねないと述べた。
与党キリスト教民主同盟のウィッテッカー議員は、メルケル首相とゼーフォーファー内相の対立の核心が何であるのかは、まだ明らかではないが、他の閣僚は「意気消沈している」というのである。
ウィッテッカー議員は述べる。「我々は深刻な状況にあります。というのも、移民危機問題が政治問題化したからです」
「問題は、誰が政府を率いるのかということです。アンゲラ・メルケルなのか、ホルスト・ゼーフォーファーなのか。誰もがこの問題をじっと見守っているようです」
メルケル首相と内相の対立した原因を尋ねられると、「私にはわかりません。移民危機を解決するマスタープランがあります。それらはホルスト内相の63ものアイデアから構成されています」と議員は答えた。
「そのアイデアが何であるかは私たちは知りません。だから、われわれは意気消沈しているのです」
「このことがバイエルンでの間近に迫った選挙に関係があるはずです。というのも、保守派が過半数を占めることは決定的に重要です。だから、この問題が国家を揺るがす問題となっているのです」
「こうした問題はメルケル首相とゼーフォーファー内相の権威を貶める可能性があります。そして、この問題は来週末までには新たな状況になることでしょう」
「おそらくは新首相です」
バイエルンの地方政党であるキリスト教社会同盟(CSU)のゼーフォーファー内相は、メルケル首相の国境開放政策に、しばしば敵意を示してきた。この政策の結果、ドイツは、2015年以来百万人以上の難民を受け入れている。
内相は警察力を動員して、難民が既に他の国で登録している場合、文書を持たない移民を国外退去させている。
しかし、メルケル首相はそうした手段に反対しており、支持を求めて彼女の政党であるキリスト教民主同盟(CDU)のメンバーと緊急会談を行った。
そして、CSUの議員は、既に、彼等の指導者であるゼーフォーファー内相を支持することを宣言している。
この分断により、メルケル首相は厄介な状況に追い込まれている。現在メルケル首相は彼女の権威への挑戦に対峙しており、そのために他のEU諸国と交渉する能力が制限されるかもしれないためだ。
そして、首相としての立場も危機に瀕している。というのも、CSUの議員が連立政権から離脱すれば、議会での多数派を維持できなくなるためである。
ゼーフォーファー内相によって提案されている計画は既存のEUの規則を置き換えるものである。そうすることで、ドイツは難民希望者を,彼等が最初に入国した国に追い返すことができるようになる。」
ウィテッカー議員の言うように、今回の閣内不一致で、メルケル首相も辞任することになりそうです。この難局を脱するには、メルケル首相が譲歩しなければならないのですが、メルケル首相は依然として、難民問題は「ヨーロッパの挑戦であって、ヨーロッパの回答を必要としている」と妥協する姿勢を見せていないためです。
Germany's Merkel insists migration needs 'European answer'
結局、メルケル首相のシリア難民を大量に引き受けるというアイデアそのものに問題があったのです。メルケル首相が辞任すれば、EUは大きな混乱に陥ることでしょう。
(6月18日追記)
「月曜日に、メルケル首相は、CSUの,既に他の国で登録済みの移民の入国禁止措置の実施を7月まで延期するという妥協案を受け入れた。
妥協が確定すれば、70年に及ぶ両党の協力関係を脅かし、メルケル政権を潜在的に不安定化させていた問題の沈静化が図られることになる。
ミュンヘンのCSU指導部の会合で、CSUは既にドイツに入国禁止措置を受けている移民の国外退去を即座に実行する方針で合意していたが、すでに登録されていた国体退去処分に関して6月末のEUサミットの後に実施することになった。
メルケル首相は、6月末のEUサミットで、既に登録した移民禁止を不必要にする合意を目指すことになる。」
Merkel accepts CSU offer to delay ban on migrants: DPA | Reuters
今週のメルケル内閣の瓦解という自体は回避されましたが、あと2週間後にこの問題が解決している保証はどこにもありません。これで、ドイツにテロでも起きれば、ドイツ国内の世論は一層硬化することでしょう。