FirstHedge 明日の投資情報

投資を搦め手で分析します。

自由民主党はだめだ。

この前の選挙でも自民党に投票したが、それはあくまでも国防という観点から。

経済政策という点では、本当にだめだと言うことが、今回の税制大綱に関する議論で明らかになった気がします。

「 自民、公明の両党が10日に決定した2022年度の与党税制改正大綱は100ページ弱に及ぶ。大半は個別の税目の改正内容を説明する事務的な文章の羅列だが、その中でひときわ異彩を放つくだりがある。財務省内で企業への「檄文(げきぶん)」とも呼ばれる一節だ。
 「未来への投資等に向けた経済界への期待」と題した一節で、第1章に盛り込まれている。内容はこうだ。
 ▼企業がイノベーションよりも経費削減や値下げに競争力の源泉を求め続けた結果、経済全体としては縮小均衡が生じてしまってきた
 ▼リスク回避や横並びの意識を排してアニマルスピリッツを取り戻し、イノベーションに挑戦することが期待される。
 大綱の文章は自民、公明両党の税制調査会の幹部と財務省主税局が練り上げる。税制は専門性や厳密さが求められる分野だけに、大綱もお役所言葉が並びがちだ。そんな大綱で企業活動への批判を繰り返すのは異例だ。ある財務省幹部に理由を尋ねると「役所の下書きではない。政治の意志だ」との答えが返ってきた。
 今年の税制改正の目玉は岸田文雄首相がこだわった賃上げ税制だった。首相は一人ひとりの賃金を増やすことが消費を活性化させて成長につながるという考えだ。しかし自民党税調の雰囲気は違った。企業がため込んだお金をどう賃金の引き上げに向かわせるかという発想で議論が進んだ
 税制改正の実質的な決定権限を持つ「インナー」と呼ばれる自民党税調の幹部が日曜日の11月28日、都内のホテルに集まった。ここで政治的な調整が必要になる主要な税項目について本格的な意見交換が始まった。
 昼食のカレーをかき込んだ後、本題に入ると関心は賃上げ税制に集中した。「内部留保があれだけあれば賃上げできるんじゃないか」「これまでの税制は本当の賃上げにつながらなかった」「企業にプレッシャーをかけることも必要だ」。経済界への不満が渦巻いていた。
 税調幹部らの不満の理由を映すデータがある。財務省の法人企業統計によると日本企業(金融など除く)の20年度末の利益剰余金(内部留保)は484兆円と過去最高を更新。企業の手元にある現預金も259兆円まで積み上がった
 インナーのメンバーのほとんどは第2次安倍政権以降、政府・与党の中枢を担ってきた。会長の宮沢洋一氏は経済産業相を務め、顧問の甘利明氏は経済財政・再生相を務めるなどアベノミクスの看板だった賃上げや投資促進の旗を振った。投資環境を整えるために法人実効税率は20%台まで下げた。
 大綱の「檄文」には「近年の累次の法人税改革も、意図した成果を上げてこなかったと言わざるを得ない」との文章もある。自虐のように読めるがそうでもない。安倍政権下で税負担の軽減を含めた環境をせっかく整備したのに、企業が国内投資にお金を回さなかったとのいら立ちの発露といえる
 「檄文」は研究開発や人材への投資を再三求めて、少しまわりくどい表現で締めくくられる。「十分な投資余力があるにもかかわらず活用されていない場合に、企業の行動変容を促すためにどのような対応を講ずるべきかといった視点からも、幅広く検討を行う」
 どういう意味なのか。宮沢氏は大綱決定後に「利益が出ているけど(投資を)やらない企業に、ある意味増税になるような制度を裏打ちする」と解説した。つまりは不満を強める与党からの企業への圧力だ。
 今回の税制改正でもその一端が表れた。給与総額の伸びが小さく国内設備投資も少ない大企業は研究開発に関する投資減税を受ける要件を厳しくした。賃上げへの優遇は拡大しつつ、協力しない企業にはペナルティーのような措置を取る。
 だが賃上げも設備投資も、そもそも企業の経営判断ですべきものだ。政治の介入は危うさもはらむ。たとえば生産性の低い企業や仕事の賃金までも押し上げることになれば、成長産業への企業や雇用のシフトを妨げることにもなりかねない。
 インナーは税制のプロ集団。税だけで企業が動くわけではないのは百も承知だ。ベテランがそろい産業政策、労働政策など幅広い分野に影響力を持つ。税だけではなく、それぞれの得意分野で予算措置や規制改革を通じて企業が生産性を高められる環境づくりをする役割こそが求められている。」

税制大綱に企業への「檄文」 滞る投資、与党に不満: 日本経済新聞

本石町三のツイッタより引用。

マクロの経済現象を個別の責任にしているとは…。この数十年の政治主導とはいったい何だったのか。全体がうまくいかない原因を個別要因になすりつけると、主導する主体は無能でいい、となってしまう。(格好の論説テーマができた、ありがたい)

企業の内部留保が積み上がったのは、経済の成長期待が低下したからで、最初の契機は金融危機で、銀行が自己資本規制をクリアするために正常先からも融資回収の動きを見せ、企業は防御行動を強めた。大手三十社問題も企業間信用の収縮につながり、これも資金繰り防衛を強めた。

不良債権問題を処理させるのにまい進した結果、企業はキャッシュフロー内で投資するようになり、この間、バブル崩壊で長期低迷のマクロ経済になったのだから、企業は個別に環境対応したに過ぎない。

この間の経緯を顧みずに、いきなり内部留保が勝手に積み上がって、それを経済不振の原因とみなすのは謎だ。その前に与党がデフレ脱却(物価を2%にして安定成長に乗せる)のマクロ戦略に失敗したのを反省すべきだろう。

全体の不振を個々に求めると、敗戦は兵隊のせい、国民のせい、倒産は社員のせい、とすべて現場のせいになるのだが

起点がズレている。バブル崩壊が起点。その後のマクロの長期低迷がミクロで後ろ向き行動へ→「企業がイノベーションよりも経費削減や値下げに競争力の源泉を求め続けた結果、経済全体としては縮小均衡が生じてしまってきた」 パイが縮小するから個別も縮小するでしょ。

皮肉なことに、プラザ合意後のマクロ政策の(過度に円高を恐れた意図せざる)拡張が、経済を大繁栄させたじゃないですか。マクロ政策と無関係に、企業行動の集積がバブルを勝手に作ったわけではない。

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まあこんな感じなのですが。本石町日記の方の主張の方が政党であるように思えます。