北方領土はロシアのものと中国
これまで中国は、北方領土は日本のものという姿勢を貫いてきました。それはそう判断したのが毛沢東だからです。当時、中国とロシアは深刻な対立を抱えていました。そのために、ロシアの北方領土の領有を認めなかったのです。それがここに来てロシアのものだと姿勢を展開し始めているのです。
それを指摘しているのが日経の中沢克二記者です。
「
問題となったのは、中国外務省の副報道局長、趙立堅による7月27日の記者会見だ。日本政府がロシア首相のミシュスチンによる北方領土訪問に抗議したことについて「世界反ファシズム戦争勝利の成果は適切に尊重され、遵守(じゅんしゅ)されるべきだ」と一歩、踏み込んだ見解を示した。
この前段で「これはロシアと日本の2国間問題であり、双方の話し合いで解決すべきだ」と従来の立場を述べているものの、後段と合わせると、ロシア側に寄り添った雰囲気を醸し出すよう工夫されている。
「台湾で手を出せばロシアに肩入れ」示唆
そもそも「反ファシズム戦争(第2次世界大戦)勝利の成果」という表現は、ロシアが実効支配を正当化する際に使う表現である。これを「適切に尊重・遵守(じゅんしゅ)せよ」というなら間接的ながらロシアの主張を認めていることになる。
中国外務省の記者会見で、ロシア首相の北方領土訪問、関税を免除する特別区の設置提案について質問した共産党機関紙・人民日報傘下の国際情報紙である環球時報は、通信アプリ「微信(ウィーチャット)」公式アカウントで「(中国が)誰を支持しているのかは既に明確だ」などとする記事を掲載した。
2018年に中国企業代表団が択捉島を訪れ、旅行や養殖業での協力の可能性を検討した経緯に触れ、最後は「もし日本が続けて台湾、新疆ウイグル自治区など中国の内政問題に手を出すなら、中国企業は完全にロシアとともにさらに大きな一歩を踏み出す」と締めくくった。
「中国は時が来れば南千島の開発に参画する」。踏み込んだ見出しの記事は中国内で広く転載されている。中国政府が直接言わない意図の恣意的な解説は、宣伝当局の意向に沿って国際的な宣伝戦を有利に運ぶ「ポジショントーク」を含んでいる。
台湾を巡って日本は米バイデン政権と連携を強めている。21年版の防衛白書は「台湾をめぐる情勢の安定は、わが国の安全保障にとってはもとより、国際社会の安定にとっても重要」と初めて明記し、中国への警戒感を前面に出している。」
2つの東京五輪またぎ中国が操る「北方領土カード」: 日本経済新聞
台湾で紛争が始まれば、北方領土でも何か動きがあるかも知れません。
現在のところ、紛争が発生する可能性があるのは、台湾海峡、南シナ海、朝鮮半島、それにインド・中国の国境紛争ですが、さらにロシアによる北海道侵攻と言う可能性を考えなければならなくなるでしょう。いよいよ第7師団の活躍かも知れません。