日本のファイブ・アイズ参加は何を産み出すのか
ファイブ・アイズに日本が加盟するという事は、新たな時代の始まりを意味しています。
日経新聞からです。
「 コロナの感染が広まった3月以降、日本の閣僚として初の外国訪問先に、茂木敏充外相は英国を選んだ。ラーブ外相と対中政策を、トラス国際貿易相と日英通商協定を、先週じっくりと話し合った。
ファイブ・アイズは協力分野の拡大も課題に上る。希少資源や医療品といった戦略物資を共有する仕組みである。
例えばレアアース。携帯電話やパソコンのほか、ミサイルなど軍事関連にも欠かせない。中国が世界生産の90%を占める。日本も2010年に尖閣諸島を巡り中国と対立が深まった際、レアアースの蛇口を閉められ立ち往生した。デジタル化が加速するなか、レアアース確保は安全保障上の命綱。豪州、カナダ、米国で生産を増やし、中国依存度を下げようと急いでいる。
医療用品でもコロナ禍で中国頼みの危うさが浮き彫りになった。世界の医療用品輸入のうち、ゴーグルやバイザーなど医療眼鏡の59%、口鼻保護具の64%が中国からだ。
中国産の原薬供給が滞った結果、医薬品の製造に支障をきたすなど、薬の中国依存も改めて問題となった。医療用品を外交手段に使う中国の「マスク外交」に対する悪印象は、欧州でも決定的だ。
ファイブ・アイズでの自由貿易圏をつくるという考えが豪州から出ている。中国のコロナ対応を批判し、香港問題に対する懸念を表明したのを機に、中国は豪州への制裁を強めた。関係悪化の発端は、中国による豪州の選挙への干渉が明るみに出たことだ。
豪州のモリソン政権には弁慶の泣きどころがある。貿易や投資での対中依存度の高さだ。弱みを克服するため米国を盟主とするファイブ・アイズを自由貿易圏に発展させることは、理にかなっている。
米国が重視するのは通信の分野である。ポンペオ国務長官は「クリーン・ネットワーク計画」と名付けて、次世代通信規格「5G」などで中国排除の音頭をとる。
幅広い分野で対中連合が形成されるなかで、シックス・アイズの議論が出てくるのは自然だろう。古代中国で、台頭する強国・秦に東の国々は連合して対抗しようとした。いわゆる「合従の策」だが、その現代版ともいえる。
最大の不確定要素は11月の米大統領選。かつての親中派バイデン候補が当選すれば、中国に対する拳を下ろすのではないか、という点だ。
それにしても、感染症に対する情報開示や条約の順守といった点で、英国や豪州などの対中不信は相当に深い。バイデン氏が同盟国重視をうたうなら、その声を無視した抜け駆けはできまい。とりわけ英国は21年の主要7カ国(G7)首脳会議の議長国であり、関係を一段と密にするのが日本にとって得策だろう。」
対中国で現代版「合従の策」 ファイブ・アイズに日本も :日本経済新聞
ファイブアイズの意味づけが今後は大きく変わると言うことです。つまり、ファイブアイズとは未来の国連安保理であり、19世紀における「列強クラブ」に成るわけです。国際連盟やWTO、それにWHOが機能不全に陥るなかで、あらたな国際機構が求められています。日本も参加したシックスアイズが、その期待に応えることになるのでしょう。