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TPPは英国の生命線

Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2019年8/6号[ハードブレグジット 衝撃に備えよ]

 英国はEU離脱後はまともにEUに向き合う気はありません。ですからマーケットをそのほかに求める必要があります。それがアジアであるわけです。 

 「英政府は17日の声明で、環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟を目指す方針を改めて表明した。欧州連合EU)離脱後の通商戦略の柱に位置づけ、新型コロナウイルスで傷ついた経済の再建につなげる。今後、日本などの加盟国との協議や英へのメリットを分析する国内議論を本格化し、参加申請するかを最終判断する。

トラス国際貿易相は17日の英議会下院での演説でTPPについて「貿易と供給網のパートナーを多様化し、英国経済を強固にできる」と加盟のメリットを説明した。政府の声明ではTPPを通じて、日本やオーストラリアなど自由貿易を推進する国との連携を深め、コロナの影響で台頭しつつある保護主義に対抗する姿勢も強調した。

離脱したEUとの貿易が全体のほぼ半分を占める英国は、域外との通商関係の強化が重要課題で、日米豪やニュージーランドとも2国間の自由貿易協定(FTA)締結を目指している。足元でEUとの新たなFTAなどを交渉中だが難航している。国内では香港問題を受けて中国への経済的依存を弱めるべきだとの声も強く、TPP参加の意義は高まっている。

英国は2018年7月にTPPの参加検討を表明してから、加盟国との協議や情報収集を進めてきた。英政府によると、TPPの現加盟国の国内総生産GDP)の合計は2018年時点で世界全体の13%を占めており、英国が加われば16%に拡大する。」

英、TPP加盟の意向再表明 申請に向け本格調整へ :日本経済新聞

 バイデン大統領が誕生すれば、アメリカもTPPに加盟するのでそこに英国が加われば、ファイブアイズ諸国はTPPにそろうことになります。基本的に英国はEUを信頼して折らず、完全に見捨てているので、EUとの貿易交渉がどれだけ行き詰まってもあまり気にならないのです。むしろ新たな経済圏としてのTPPに大いに期待しているとも言えます。

 その上で改めて障害になるのが、中国でしょう。ですから、英国は真剣に中国と対峙することになるでしょう。もう一つ障害になるのは、意外なことですが、トランプ政権です。トランプは英国との間でFTAを締結したかったのでしょうが、これはこれで数年間の時間が必要になります。せっかく既製品でTPPという枠組があるのに、それを英国が利用出来ないのは残念なことなのです。ですから、本音の所では。ジョンソン首相はTPPに反対しているトランプ政権の存続を望んではいないのです