「合意なき離脱」を熱烈に支持するトランプ政権
今後来たるべき世界大戦に向けて同盟関係の整理が行われている最中です。英国のEU離脱もその文脈で考える必要があります。
「ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は12日、英国を訪問し、ジョンソン首相と会談した。ボルトン氏は会談後、英国が欧州連合(EU)からの「合意なき離脱」を選択するのであれば、米国はその決断を熱烈に支持する考えを示した。
ボルトン氏は経済問題などを協議するため、12日から2日間の日程で訪英。ロイター通信によると、10月末のEU離脱をトランプ米大統領が望んでいるとジョンソン氏に伝えた。また、離脱後に米英が自由貿易協定(FTA)を締結するために、米政府が迅速に準備を進めていく意向を示したという。
ボルトン氏は会談後、記者団に「EUからの合意なき離脱が英政府の決断ならば、米国は熱烈に支持する。私たちは英国とともにある」と語った。ジョンソン氏は10月末の離脱実現を公約に掲げており、実現のためには合意なき離脱も辞さない姿勢を示している。
ボルトン氏はまた、FTAについて、包括的な通商合意を結ぶことが最終的な目的だとした上で、分野ごとに協定を締結し合意が困難な分野があれば後で協議することも可能だと述べた。
一方、英首相官邸は12日、ジョンソン氏が同日、トランプ氏と電話会談し、離脱やFTAなどについて協議したと発表した。」
米国は「合意なき離脱」を熱烈に支持 訪英中のボルトン氏が示す - 産経ニュース
トランプ政権のNATOに対する懐疑的姿勢からすれば、NATOの加盟国、特にドイツをアメリカが信用していないことは明らかです。これから戦争の時代に入るのに軍事予算を削減しすぎて、身動きがとれなくなり、中東からの移民を歓迎することで国全体をテロの温床としてしまったメルケル首相を、トランプ大統領は軽蔑もし、馬鹿にもしていることでしょう。その一方で、メルケル首相は、トランプ大統領をレイシストとでも考えているはずです。
このようなNATOの空中分解という状況を受けて、アメリカが欧州で唯一汲めるのは英国だと考えても不思議ではありません。英国のEU離脱と、新たな米英の特殊な関係はセットなのです。それが今回のボルトン発言の真意なのです。
そもそも農産物などでは、英国はヨーロッパ大陸からの輸入に依存しています。かりに、ヨーロッパから農産物が流入しなくなれば、例えば北アフリカ諸国から輸入されることになるでしょう。少し打撃を受けるのが、自動車などの製造業ですが、それもここまでポンドが低くなれば、十分な競争力を維持できます。
むしろ、EU諸国にとっては英国の負担金を喪失し、英国という市場も喪失することは打撃でしかないのです。現在は、英国のEU離脱を理由に、英ポンドが激しく売られていますが、Brexitは英国に有利で、EUには不利だという認識が広まれば、是正されていくことでしょう。というか、相当ユーロが売り込まれることになるでしょう。