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さようなら、香港

香港危機の深層 「逃亡犯条例」改正問題と「一国二制度」のゆくえ

 国際都市そして金融の中心としての香港は終わることになりそうです。

 NHKのほうどうによれば、

「 香港にあるジェトロ日本貿易振興機構や日本人商工会議所などは、香港で活動する日本企業598社を対象に、今月2日から8日にかけてビジネス環境についてのアンケートを行い、304社から回答を得ました。
 それによりますと、反政府的な活動を取り締まる「香港国家安全維持法」について、「大いに懸念している」または「懸念している」と答えた企業は合わせて81.4%に上り、特に情報のアクセスなどに制限がかかることへの不安が大きいということです。
 また、今後、香港から撤退したり、事業規模の縮小や拠点機能を見直したりする方針だと答えた企業は合わせて14.5%に上っています。
 ジェトロ香港の高島大浩所長は「企業にとって予見可能性は重要な要素だが、法律にはわからないことが多く不安感が大きい。今後、法律の恣意(しい)的な運用が行われれば警戒感が高まるだろう」と話しています。
 また、現地に進出するアメリカ企業を対象に行った香港のアメリカ商工会議所の調査でも、
▽76%の企業が法律に懸念を示し、
▽36%が香港からの事業拠点や資産の移転を検討していると答え、香港での外国企業のビジネス活動に今後影響が広がることが予想されます。」

香港「国家安全維持法」に日本企業8割超が懸念 撤退方針も | NHKニュース

日本の企業で撤退を検討しているのは14.5%であるのに対し、アメリカは36%ですから、アメリカの企業と比べれば日本の企業はやはり鈍感なことがわかります。

金融という点で言えば、とどめを刺したのは中国当局のようです。

「 中国当局が在外市民の本土外所得への徴税に乗り出したことを受け、香港で勤務する本土出身者の人材流出を巡る懸念が広がっている。中国のバンカーやホワイトカラーにとって香港で働く魅力が損なわれるためだ。
 本土の所得税率は最高で45%。これに対して香港は約15%だ。従業員やリクルーターに取材したところ、香港勤務の中国人専門職は今回の徴税措置と香港での生活費の高さを踏まえて本土に戻ることを検討している。」

香港在勤の本土出身バンカーらに税率45%の衝撃-やむなく帰還検討も - Bloomberg

香港は金融のセンターとしては使い勝手が良くないという事なのでしょう。国籍が中国の金融関係者は香港を離れることでしょう。香港島の機能を海南島に移すという事のようです。

「 中国政府は最南端の海南省を「自由貿易港」に指定した。2025年にも原則すべての関税をなくす。法人税所得税も優遇し、ビザなし渡航も広げる。香港の機能の一部を分散させる思惑もありそうだ。人材不足など課題は多く、計画通りに発展するかは見通せない。」

中国、海南島の関税ゼロへ 25年以降、法人・所得税も優遇 香港の機能一部分散 :日本経済新聞

うかうかと海南島に進出する日本企業もあるのでしょうが、中国共産党体制があと10年程度で崩壊するという仮説をもとにして考えると、海南島開発が円滑に進むとは考えにくいですね。むしろ人民解放軍の原潜の基地があるのですから、紛争に巻き込まれることの方が多いようにも思います。