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香港の富はどこへ向かう

香港を使って大金持ちになる法―日本から最も近い税金天国

 香港で金儲けはもうできないですね。むしろ、香港の富はどこに向かうのかが問題です。

 「 中国政府が制定を目指す「香港国家安全法」により、本土の当局が香港にある資産を追跡し、差し押さえることが可能になるとの懸念から、中国の富裕層が香港からの資産移転に動く可能性がある。銀行関係者などが明らかにした
 香港市場に投資されている資産は約1兆ドルを超えているとされるが、このうち半分以上は本土の個人投資家が持つ資金だとみられている。
 これまで香港は、中国との密接な関係と本土とは異なる法制度、および通貨ペッグ制の恩恵を受けていたが、資本や人材の流出により、金融センターとしての地位を喪失する瀬戸際にある。
 ロイターが取材した銀行関係者ら6人によると、複数の中国人顧客が、他の海外金融拠点に資産を振り向けようと考えている。移転先としてはシンガポールやスイス、ロンドンが有力という。
 欧州系資産運用会社のアドバイザーは、香港への投資機会をうかがっていたある中国人投資家が、代わりにシンガポールで投資用マンションを5部屋購入したと明かす。
 シンガポールを拠点とする金融関係者は、中国人富裕層から香港以外での口座開設について問い合わせが増えていると指摘した。
 また香港を拠点として中国人顧客の資産運用を行っているマネージャーは、ドバイで投資事業体を設立したいとの問い合わせを受け、現地の銀行2行と提携協議を行っているという。
 香港はアジアの金融センターの地位をシンガポールと競ってきた。しかし、中国政府が香港への統制を強化する「国家安全法」が制定されれば、香港の自由と法による保護が脅かされるとの懸念が高まっている。」

中国の富裕層、香港から資産移転の可能性 「安全法」を懸念=金融筋 - ロイター

 国家安全法の採用で、はれて米中の冷戦は開始されました。これでもう後戻りはできません。おそらくは10年かけて、中国はゆるゆると衰退していくことでしょう。昨年まではいきなり熱戦に転嫁するのではと期待していたのですが、米海軍も空母を動かせないのですから、大規模な軍事衝突は可能性が低くなってしまいました。その代わりに世界経済のブロック化が進み、中国はどのブロックからも排除されるというプロセスをたどりそうです。この中国を孤立させるブロック経済化で、差し当たってダメージを受けるのはオーストラリアでしょう。このプロセスではオーストラリアは相当の犠牲を払うことになると予想されます。となると、あらためてTPPが重要であったと気が付くわけです。英国もTPP加盟を希望しているとのことですから、アメリカも次の大統領になれば、遅れて参加ということになるのではと予想します。EU諸国は、停滞していた経済を中国の力を借りてごまかしてきたというのが本当のところですから、中国抜きということになれば、危機的状況に陥ると考えられます。今でこそユーロは高いですが、そのうち堰を切ったように下落し始めるでしょう。

 マーケットにはお金があふれています。香港の資金もそうですが、世界中で宙に浮いている資金の行き場が今世紀のマーケットの中心を作り出すのかもしれません。これからそれらの資金が一斉に移動を始めるのです。その受け皿となるのは日本を置いて他にはないでしょう。スイスのような金融センターが日本のどこかにできるかもしれません。