復調しつつあるドイツ銀行
小春日和かも知れませんが、ドイツ銀行は一旦危機から遠ざかっているようです。
まず、カタールからの資金を確保しました。
「 ドイツ銀行がカタールから追加出資のコミットメントを確保したと、事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。事業運営に苦慮している同行は、財務基盤の強化を図っている。
協議が非公開だとしてこれら関係者が匿名で語ったところによれば、出資はカタール政府系ファンドのカタール投資庁(QIA)を経由する公算が大きい。この他2つの同国投資機関は既にドイツ銀の株式を保有している。いずれの投資機関にも王族や著名政治家らが名を連ねている。
関係者によると、話し合いは進展しているが、最終合意には達していない。出資のタイミングや規模は明らかでない。ドイツ銀の広報担当者はコメントを控えた。QIAの担当者にコメントを求めたが応じなかった。
QIAの運用資産は3200億ドル(約35兆円)。ロシア国営石油ロスネフチや独自動車フォルクスワーゲン(VW)などの大手企業に出資している。QIAのムハンマド・ビン・アブドゥルラフマン・サーニ会長は、世界経済フォーラム(WEF)年次総会が開かれたスイスのダボスでインタビューに応じ、QIAが出資の可能性について協議しているドイツ企業にはドイツ銀が含まれていると明らかにしていた。」
ドイツ銀行、カタールから追加出資のコミットメント確保-関係者 - Bloomberg
また、中国での事業の拡大も計画しています。
「ドイツ銀行は外国企業による中国資本市場へのアクセスを後押しするため、中国当局に免許の取得を申請した。中国での事業拡大に向けた取り組みの一環だと、事情に詳しい関係者が明らかにした。
ドイツ銀行の免許申請は、中国預託証券プログラムの活用を想定したもの。非公開情報であることから匿名を条件に語った関係者によると、ドイツ銀行による中国資本市場へのアクセス改善については、ショルツ財務相とクキース財務副大臣が最近の訪中時に中国首脳と話し合っていた。
ドイツ銀行とドイツ政府の担当者はコメントを控えた。中国の証券監督管理委員会(証監会)はコメントの要請に今のところ応じていない。」
ドイツ銀行、中国事業の拡大へ当局に免許申請ー関係者 - Bloomberg
しかし、ドイツ銀行に対するプレミアム金利の圧力は衰えを見せていません。
「ドイツ銀行が今年、社債発行で支払う費用は大手銀行の中で最も高い部類に入る。立て直しを図る同行にとって大きな障害になっていることを浮き彫りにしている。
匿名で語った関係者によると、ドイツ銀行は今週、期間3年のドル建て社債の発行に向けて買い手を募っているが、金利は指標金利に275ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上乗せした水準になる可能性がある。この水準は他の欧州系銀行がここ数カ月に発行した社債の金利のほぼ2倍に相当する。これ以上の金利を支払った銀行は、マネーロンダリング(資金洗浄)疑惑に揺れるデンマークのダンスケ銀行と、イタリアのウニクレディトだけだ。」
ドイツ銀の社債発行コストが高水準、悪循環脱出の困難を示唆-関係者 - Bloomberg
このプレミアム金利がなくならない限り、ドイツ銀行倒産の危機は去ったとは言えないでしょう。しかも、米中の経済対立が深まっている時期に、中国市場進出というのは間が悪すぎる印象があります。
そう考えれば、やはり要注意銀行であることには変わりがないようです(笑)。