メルケル首相の訪中
経済的に行き詰まっている中国をメルケル首相が訪問します。
「ドイツ首相、アンゲラ・メルケル首相は、来週北京で、習近平主席を含む指導者のもとを訪れ、中国が自由貿易のための同盟国として位置づける努力を続けると述べた。
今回の外遊は、3月に第4期目にはいったメルケル首相にとって、世界第2位の経済圏である中国のへの初めての外遊となる。欧州と中国は、投資の相互主義から人権に至るまで対立する点は残るが、摩擦の点ではあるが、ドナルド・トランプ大統領の中国とEUに対する関税戦争という脅威を打ち消すという共通の大義を見いだしている。
「中国とドイツは世界貿易機関(WTO)のルールにコミットしている、まだ我々はまた、貿易や知的財産の問題にでの往復アクセスに関して議論する予定である」メルケルは土曜日に公開される彼女の週刊ポッドキャストで述べた。「我々は多国間主義を強化することを望んでいる」
メルケルは、5月24日に習近平と他の中国指導者と会談を行う予定で、続いて深圳でシーメンスAGの施設を含む観光地を訪れる予定である。メルケル首相は、1月に中国を訪問し、ヨーロッパ諸国が中国の世界的な対応に立ち向かう必要があると述べたエマニュエル・マクロン仏大統領よりも慎重な姿勢をとるようにみえるかもしれない。
2016年にドイツの最大の貿易相手国がアメリカから中国に交代して以降、中国との関係はメルケル首相にとってこれまで常にバランスを取る行為であった。それと同時に、米国とドイツは中国の増大する政治的経済的影響力を封じ込めるために協力する必要がある。」
Merkel to Seek China as Free-Trade Ally on Beijing Trip - Bloomberg
戦略としては、アメリカの貿易戦争にともに戦うのは合理的と言えます。ただ、中国経済が健全であるかどうかも問題になるでしょう。ましてや、自由貿易の旗手として中国を持ち上げれば、後々、アメリカと飲むような対立をもたらすことになるのではないでしょうか。自国の軍備もままならないドイツが、中国に接近するのは、まわりまわってマイナスになる可能性が高いと見られます。
とはいえ、メルケルとしても、移民問題で支持率を落としている以上、経済の面で中国からある程度の譲歩は求めたいところでしょう。中国としても、アメリカと対抗する上では、ドイツを一旦味方に引き入れておいた方が有利だという計算が働くでしょうから、短期的には、ある程度の成果が期待できます。