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河野外務大臣によるアメリカ大統領選解説

河野太郎の国会攻略本

 河野太郎氏を必ずしも支持しているわけではありませんが、今回はメルマガの内容が秀逸でしたので取り上げました。

 「ごまめの歯ぎしり」より

これまでも何度も書いてきたように、アメリカの大統領選挙は、
新しい大統領が決まるやいなや、次のラウンドが始まります。

もちろん候補者が名乗りを上げ始めるのは中間選挙が終わってか
らでしょうけれども、次の大統領選挙に向けて、指名選挙に関す
る新たなルール作りが始まります。

1972年には、民主党内でこのルール作りの責任者だったジョージ・
マクガバンがそのルールを大いに活用して民主党の大統領候補とし
ての指名を獲得したこともあるほど、実はルールは重要です。

共和党では現職のトランプ大統領の指名が確実視されていますが、
民主党は大混戦です。

その民主党では、大きなルール変更が行われています。

一つはカリフォルニア州をはじめ、多くの州で予備選挙の日程が
繰り上がり、スーパーチューズディのように複数の州で同時に予
備選挙が行われるようになります。

特に資金力がものをいうカリフォルニア州予備選挙が3月に繰り
上がるのは、最初の知名度が低く、予備選挙を勝って支持を広げて
いこうというオバマ型を目指す候補者には痛手です。

バイデン前副大統領のように最初から知名度があり、資金力がある
候補者が俄然有利になります。

さらに民主党の知事、連邦の上下両院議員、民主党全国委員会の幹
部などからなるスーパーデレゲートと呼ばれる代議員の扱いが変わりました

前回は当初から有力視されていたクリントン候補がこのスーパーデ
ゲートの支持を最初からかき集め、大きくリードしたのですか、今
はそうはいきません。

もし特定の候補が、各州の予備選挙や党員集会を通じてスーパーデ
ゲートを除く代議員の50%+1票を獲得した場合には、党大会の
一回投票で、スーパーデレゲートは投票することができなくなりました。
つまり、その候補が指名を獲得するということです。

もしどの候補も予備選挙や党員集会を通じてスーパーデレゲートを除く
代議員の50%+1票を獲得できなかった場合、ある候補者がスーパー
レゲートの支持を加えて全代議員の50%+1票を獲得していれば、
スーパーデレゲートは党大会の第一回投票で投票をすることができる。
つまり、その候補が指名を獲得します。

もしどの候補者もスーパーデレゲートを除く代議員の50%+1票を獲
得できず、さらにどの候補者もスーパーデレゲートを入れた全代議員の
50%+1票を獲得できない場合、スーパーデレゲートは党大会の第一
回投票では投票が許されませんが、第二回投票以降は投票をすることが
できます。

スーパーデレゲートの支持がなくとも、各州の予備選挙や党員集会で代
議員の過半数を集めてしまえば、それで指名を獲得することができ
うになりました。

もう一つの大きなルール変更は、代議員を党員集会(コーカス)で選ん
でいた州の多くが予備選挙(プライマリ)に切り替えたことです。

全米に先駆けて党員集会を行うことで有名なアイオワ州は2020年に
も党員集会を行います。そして、やはり早い段階で党員集会を行うネバ
ダ州も党員集会を行うことを決定していますが、その他に党員集会を維
持するのはワイオミング州ぐらいで、党員集会は前回の14州から3州
に減ることになりました。

党員集会は、決められた時間に決められた場所に集まり、数時間かけて
代議員を選びます。

他方、予備選挙は、投票日の都合のいい時間に投票所に出かけて投票す
るだけ。場合によっては郵便投票や期日前投票ができます。

つまり支持する候補者のために何時間でも使ってもよいという熱狂的な
支持者を多く抱えている候補者にとっては党員集会は都合の良いルール
ですが、予備選挙では、知名度やなんとなくの好感度が高い候補者
有利になります。

例えば2016年に党員集会と予備選挙の両方を行ったネブラスカ州と
ワシントン州では、党員集会ではサンダース候補が勝ち、予備選挙では
クリントン候補が勝っています。

つまり、バーニー・サンダース候補のような熱狂的な支持者を抱えた候
補者よりバイデン前大統領のような好感度の高い候補者が有利になります。

しかも今回、党員集会から予備選挙に切り替えたすべての州で、前回、
サンダース候補は勝利を収めています。今回のルール改正は、サンダース
候補にとっては痛手です。

こうしてみると民主党の指名競争のルールは、バイデン前大統領に有利
になってきたといえるようです。

アメリカ大統領選挙 | 衆議院議員 河野太郎公式サイト

 この内容を読む限りでは、前回の大統領選のような混乱は避けたいと民主党が考えていることがよくわかります。特に、スーパーデレゲートのような党の御局さんのような人に投票権を与えていたのは、既存の体制への利益を代表するという側面を強調することになりました。言い換えれば、体制派の回し者というイメージを与えたのです。ですから、その意味では、よりクリーンな選挙といえるでしょう。

 しかしその一方で、トランプ大統領のような当初は泡まつ候補だったのが、気が付けば大統領選候補になっているというシンデレラストーリーを徹底的に拒否しています。民主党にとって、たとえ自党であっても、トランプ候補のような候補はうんざりなのでしょう。もう少し、話が分かる、既得権益にも理解がある(ように見える)候補者出なければ、とてもではないが、支持できないという本音がにじみ出る投票方式の変更です。この場合、一番警戒されているのがサンダース上院議員ですが、ワレン上院議員、それにオルーク候補などもふるいにかけられているといえそうです。

 とするならば、今回はバイデン元副大統領が大統領選候補になる可能性が高いといえるでしょう。