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ドイツ銀行問題は、時間との闘い

タイムボカン名曲の夕べ

 世界的に景気が減速している中で、ますます株価が下落するドイツ銀行は絶体絶命のピンチに陥っています。

 「ドイツ銀行は、国内で最大の競争相手であるコメルツ銀行の幹部および政府関係者とここ数カ月に頻繁に話し合いを重ねていた。ドイツ銀を巡っては、外部支援を受けなければ今の危機的な状況を脱することは無理との懸念が強まっている。
 昨年3月の第4次メルケル政権発足以来、ドイツ銀の代表者らは政府当局者と23回にわたって会合を開いた。ブルームバーグが閲覧した財務省の書簡によると、会合の大半はクーキース副財務相、ドイツ銀のクリスティアン・ゼービング最高経営責任者(CEO)、パウル・アハライトナー会長の間で行われた。ゼービングCEOはまた、コメルツ銀行マルティン・ツィールケCEOとも定期的に会っていたことが、事情に詳しい関係者2人の情報で明らかになった。
 財務省の書簡によると、会合では「戦略上の選択肢」などが話し合われた。ドイツ銀が数年に及ぶ利益悪化や減収を反転させられずにいる中で、会合の頻度は同行と政府の焦りを浮き彫りにしている。ドイツ銀とコメルツ銀の株価は昨年1年で50%余り値下がりした。コメルツ銀は公的支援を受けた後、一部を国が引き続き保有している。
 独紙ハンデルスブラット(HB)はこれより先、ゼービング、ツィールケ両氏がここ数カ月間に複数回にわたり会談していたとし、合併の可能性も話し合ったが正式な動きはまだないと報じていた。
 ドイツ銀行コメルツ銀行の代表はそれぞれコメントを控えた。ドイツ財務省はこの書簡についてコメントを避けた。書簡に関しては、独紙フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)は他社に先駆けて伝えた。」

ドイツ銀:コメルツ銀や政府幹部と頻繁に会談、戦略上の選択肢協議 - Bloomberg

 コメルツ銀行との合併の可能性は、昨年末から報道されていたはずですが、いまだに進展がないとは逆に驚きです。このまま中国の経済減速に関するニュースが増加すれば、ドイツ経済に対する信認は一層下がるでしょう。その時に、ドイツ銀行は耐えることができるのでしょうか。

 実際、ドイツ銀行の経営状態は非常に悪化しています

「10日は銀行業界全体に及ぶ脱税スキームの関連で訴えられたほか、監督当局が顧客審査を見直すよう異例の期限を設定したとの報道が流れた。今週初めには、ドイツ銀は他の銀行とともに高リスク融資合計12億ドル(約1300億円)余りについて昨年終盤に投資家への売却に失敗し、処分に行き詰まっているとの情報も浮上した。」

ドイツ銀、悪材料止まらず-第4四半期は赤字か - Bloomberg

 さらにはボーナスも減額される見込みです。

ドイツ銀行取締役会は2018年の賞与総額を前年比で10%程度減額することを決定した。事情に詳しい関係者が明らかにした。同行は人材流出が懸念される中で、コスト圧力に対処しようとしている。

 この決定は公表されていない。関係者によると、ドイツ銀行は成績が極めて優秀な行員には引き留めのため賞与を選別的に増額する。最終的な賞与総額の数字は同行の10-12月(第4四半期)の業績次第で変わる可能性があるという。」

ドイツ銀行、2018年の賞与総額を10%程度減額へ-関係者 - Bloomberg

 優秀な行員であれば、まだほかに移動できるうちにドイツ銀行を退職することでしょう。結論として言えるのは、大きな経済的変動の前にコメルツ銀行との統合ができなければ、ドイツ銀行は倒産する可能性が極めて高いということになります。

 メルケル首相の辞任と並んで、このドイツ銀行問題がユーロにとっての最大の懸念であるといえるでしょう。