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グローバル・ブリテン構想

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 今度は「人民解放軍を撃滅せよ!」となるのでしょうか。

 何度も 繰り返しお伝えしてきましたが、Brexitを契機に英国が極東に戻るというのは既定路線のようです。

「 ブレグジット(イギリスのEU離脱)後のイギリスは、世界の舞台でどのような役割を果たすべきか――。テリーザ・メイ首相ら英政権の閣僚たちは、かなり前からこの問題を検討していたらしい。そして運命の国民投票の数カ月後に、メイとボリス・ジョンソン外相(当時)が示したのが「グローバル・ブリテン」構想だ。
 メイは2016年10月の保守党大会で、グローバル・ブリテンとは、イギリスが「自信と自由に満ちた国」として「ヨーロッパ大陸にとどまらず、幅広い世界で経済的・外交的機会を求める」構想だと説明した。なぜなら国民投票の結果は、イギリスが「内向きになる」ことではなく、「世界で野心的かつ楽観的な新しい役割を担う」ことへの決意表明だったから、というのだ。
 この「世界における新しい役割」には、英海軍がインド太平洋地域で再び活発な役割を果たすことが含まれる。例えば、キム・ダロック駐米大使は2018年、「航行の自由を守り、海路と航空路の開放を維持する」べく、空母クイーン・エリザベスがインド太平洋地域に派遣されるだろうと述べた。
 同年にオーストラリアを訪問したジョンソンは、英海軍が2020年代にクイーン・エリザベスとプリンス・オブ・ウェールズの空母2隻を南シナ海に派遣すると語った。英海軍の制服組トップである第一海軍卿も、2020年代にクイーン・エリザベスを南シナ海に派遣すると語っている。
 イギリスの外交政策はあまりにも長い間、ヨーロッパという狭い地域に縛られていたというのが、英政府高官らの考えだ。彼らにとってブレグジットは、イギリスが単独で世界的な役割を果たすチャンスだ。2018年末のサンデー・テレグラフ紙のインタビューで、ギャビン・ウィリアムソン国防相は次のように語っている。
 「(ブレグジットによって)イギリスは再び真のグローバルプレーヤーになる。私はそこで、軍が極めて重要な役割を果たすと考えている。......わが国のリソースをどのように前方配備して抑止力を構築するか、そしてイギリスのプレゼンスを確立するかを、私は大いに検討している。このような機会は極東だけでなく、カリブ海地域にも存在すると考えている」
 さらにウィリアムソンは、「今後2年以内に」、極東に軍事基地を設置する計画を明らかにしている。現時点の候補地はブルネイシンガポールの2カ所だ(イギリスは現在、シンガポールのセンバワン海軍基地に小規模な後方支援拠点を持つ)。
 実際、イギリスは近年、東南アジアにおける防衛活動を拡大している。その根拠となっているのは、1971年に英連邦5カ国(イギリス、マレーシア、シンガポール、オーストラリア、ニュージーランド)が締結した防衛協定(5カ国防衛協定)だ。
 ウィリアムソンは、2018年6月に開かれたアジア太平洋地域の安全保障会議シンガポール・ダイアローグ」で、イギリスは海軍艇を派遣することにより、この地域の海における「ルールに基づくシステム」を強力に支持していくと語った。「国家はルールに沿って行動する必要があること、そうしない場合にはそれなりの結果が伴うことを明確にする必要がある」
 さらに英外務省のマーク・フィールド閣外相(アジア太平洋担当)は昨年8月、訪問先のインドネシアジャカルタで講演し、イギリスはアジアで恒久的な安全保障プレゼンスを維持する決意だとして南シナ海における航行の自由と国際法の尊重を各国に促した
 これまで英海軍の艦艇が極東に派遣されたのは2013年が最後だった。同年、駆逐艦デアリングがオーストラリア海軍の創設100周年記念行事に派遣され、5カ国防衛協定の合同軍事演習にも参加した。この年は超大型台風ハイエンの被害を受けたフィリピンの人道支援活動のため、軽空母イラストリアスも派遣された。だが、その後の派遣はぱったり途絶えていた。
 状況が変わったのは2018年4月だ。イギリスは朝鮮戦争以来となる海軍艇3隻を極東に派遣した。強襲揚陸艦アルビオンは、オーストラリアとニュージーランドに寄港し、5カ国防衛協定の合同軍事演習に参加した。対潜フリゲート艦サザランドとフリゲート艦アーガイルは、日米韓合同軍事演習に参加するとともに、北朝鮮に対する経済制裁の履行監視活動に参加した。
 南シナ海では、英海軍とフランス海軍の合同チームが、航行の自由を確保するための哨戒活動を実施。アルビオンも8月に日本に寄港後、西沙群島(パラセル)近海で哨戒活動を行い、ベトナムホーチミンに親善目的で寄港している。米海軍との合同演習も、この地域における英海軍のプレゼンス強化をアピールするものになった。(以下略)」

ブレグジット後の英国は「海の覇者」として復活する | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

 「グローバル・ブリテン構想」の下では、中国は存在する余地がありません。むしろ、日米VS中国という戦争になった場合に、英国は日米の側に立つと表明しているのです。特に、南シナ海の問題は、中国の意向は100%通らないと考えておいてよいでしょう。

 最終的には、英国は、最低限香港の再領有までは考慮していることでしょう。中国共産党亡き後のアジアからいかに自国の利益を確保するのかという問題に、外交方針の重点が移っていることは確かです。

 おそらくメイ首相は3月末にEUとの交渉がまとまらないままEU離脱を済ませると、首相を辞任するでしょう。その時、保守党を率いるのはジョンソン元外相であるはずです。