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アメリカにくすぶる先制攻撃論

 率直に言って、アメリカの先制攻撃の可能性に関しては可能性は低いと考えていますが、それでもトランプ政権にさまざまな主張があることは知っておくべきでしょう。

 ロイターからです。

「ここ数日のメディア報道によれば、正恩氏の考えを改めさせるため、戦争に発展するリスクがあっても、北朝鮮に対する限定的な先制攻撃を検討したいとの考えをトランプ大統領が抱いていることを複数の政府関係者が明らかにしている。

 だが、米政権内部で意見は割れている。

 マクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)は大統領側近の中で最も声高に、より積極的な軍事的アプローチを主張。一方、ティラーソン国務長官マティス国防長官、米軍指導部は、慎重に外交選択肢を尽くすべきだとの立場をとっている。政府高官5人が明らかにした。

 ホワイトハウスの米国家安全保障会議(NSC)担当者は、トランプ政権が「軍事面と非軍事面の双方で、常にさまざまな選択肢を検討している」と述べたが、側近間の意見相違については発言を避けた。

 米国防総省は内部の議論についてコメントを避けたものの、広報担当者は、マティス長官が公の場で、北朝鮮危機への対応は外交主導だと発言したことを指摘。国務省は、軍事的選択肢の後ろ盾を持ちつつ外交を追求する必要がある、とのティラーソン氏の発言に言及した。

 強硬派のシナリオによれば、北朝鮮の体制を転覆させるためではなく、正恩氏に道理をわきまえさせるために、1カ所の目標に対して限定的な攻撃を行うことが可能だという。政権転覆には、北朝鮮の唯一最大の同盟国である中国の同意が得られないという。

 「トランプ大統領は、金正恩氏が唯一理解し尊重するのは、顔面へのパンチ一発だと確信しており、過去の米政権は、それを実行する勇気に欠けていたと考えている」と米政府高官は語った。

 「少なくとも、先制攻撃について中国に事前警告すれば、中国政府は正恩氏に米国を脅かすプログラムの停止を強制しようとするだろうと考えている」と、同高官は述べた。

 政府内の議論に詳しい人々によるこうした暴露が、北朝鮮指導部を脅かし、戦略の転換を促すための単なる心理戦争なのか、それともトランプ大統領の真剣な意図を反映したものなのかは、定かではない。(略)

 米政権は今週、閣僚級会議を開き、経済面と軍事面で北朝鮮対応の選択肢を詰める予定だった。

 だが、この会議は平昌パラリンピックの3月閉幕後に延期された。今回の南北会談や、来週カナダのバンクーバーで予定される北朝鮮問題を巡る20カ国の外相会合を踏まえた対応だという。

 バンクーバーの会合は、米国主導で北朝鮮に対する国際圧力の強化を目指すもので、昨年11月末に北朝鮮大陸間弾道ミサイルICBM)発射実験を行った直後に米政府が開催を発表していた。

 北朝鮮が新たな実験を計画しているという情報機関の「確度の高い」予測をもとに、同国の核やミサイル施設に対して爆撃を行うことが選択肢の1つにある、と米高官は語った。北朝鮮ICBMに燃料を注入しているという証拠が、このような攻撃に引き金になると考えられるという。もう一つの選択肢は、北朝鮮の実験を受けて、ICBMや核施設に対する報復攻撃を行うことがあると指摘する。

 複数の高官によると、マクマスター大統領補佐官は、米国の攻撃は1つの標的に限定され、正恩政権の転覆を狙った作戦の第1段階ではないことを中国に請け合えば、全面戦争は避けられると主張したという。

 中国の政治専門家は、たとえ限定的な攻撃であっても中国は反対していると指摘。しかし、カーネギー清華グローバル政策センター(北京)の北朝鮮専門家Zhao Tong氏は、もし北朝鮮が核を搭載したICBMを太平洋に発射したり、グアムに向けてミサイルを発射したりすれば、中国も態度を変える可能性があると話す。

 トランプ政権による軍事的選択肢を巡る議論は、中国とロシアを追い込んで北朝鮮への圧力をかけ続けさせるための「心理ゲーム」だと中国は受け止めているが、同国は万が一に備えた危機対応準備も進めていると、Zhao氏は言う。「もしトランプ大統領が本当は軍事攻撃を真剣に考えていなかったとしても、計算ミスや、北朝鮮が過剰反応する危険は常にある」」

 現在でも、トランプ政権の内部で意見が割れていることを伝える記事ですが、トランプ大統領の本音で言えば、マティス国防長官のそれに最も近いと考えられます。正直なティラーソン国務長官とは異なり、マティス長官は「たぬき」であるということです。本音では軍は動かしたくないのですが、北朝鮮を恫喝するために精一杯努力するというスタンスなのです。

 それでも、オリンピックが終わっても平和な状態が続くとは,考えにくいのですから、限定的な米軍の攻撃は想定しなければならないのかも知れません。