FirstHedge 明日の投資情報

投資を搦め手で分析します。

11月29日の北朝鮮のミサイル発射に関して

 いよいよ、北朝鮮は、米国本土をほぼカバーする弾道ミサイル開発に成功したと考えて良いのだと思います。しかし、アメリカの戦略は、かけられるだけの圧力をかけて様子見に終始しそうです。

 ブルームバーグからです。
 「北朝鮮の2ヵ月近くの平穏な期間は,ミサイルの発射で終わりました。アナリストによれば、このミサイルはアメリカの東海岸にまで達するそうです。
 日本は大陸間弾道弾が53分ロフテッド軌道を飛行し、高度4000kmに達したのち、日本の東北地方から250kmの所に着水しました。マティス国防長官は、今回の発射が最も高度が高いことを認めています。
 金正恩の体制を「業火と憤怒」で恐喝していたトランプ大統領は、抑制された対応をとっていました。そして記者には「状況に対応する」と述べていました。トランプ大統領は電話で日本の安倍首相と会談を行い、軍事的手段を否定しなかったと日本のスポークスマンは述べました。トランプ大統領はまた文在寅大統領とも会談を行いました。
 今回の発射は,北朝鮮核兵器をアメリカに到達させる能力という点で進歩を遂げたことを示していました。金正恩が語っていたのは、この能力は、米国の侵略を抑止するために必要だということです。トランプ大統領は、北朝鮮が核の脅威を停止するために必要ならば軍事力を行使すると脅してきました。
 韓国軍は、発射から数分以内に精密爆撃体制を整えましたマティス国防長官は、この対応によって北朝鮮は我々の同盟国によって攻撃を受ける可能性がある事を理解しただろうと述べました。
 韓国の文在寅大統領は、北朝鮮に対話を要求し、北朝鮮が完全なICBMを入手すれば、状況は「制御不能」になると警告しています。さらに「誤った判断に基づいて北朝鮮核兵器で我々を恫喝する、もしくは、米軍が先制攻撃を考慮する状況を回避しなければならない」と国家安全保障会議で述べています。(中略)
 アメリカ、日本、韓国は国連安保理の開催を要求しています。 
 北朝鮮は要求をつり上げる方法を持っています。北朝鮮外相の李容浩は、9月に、平壌は太平洋上で水爆実験を行うかも知れないと示唆しています。また、この孤立した国家は米国領のグアムの近くにミサイルを発射すると脅しています。
 潜水艦からの弾道ミサイルの発射もしくは低伸弾道に関しても技術的な進歩を見せています。
 趙明均韓国統一相が、火曜日に、記者達に語ったのは、来年に北朝鮮核兵器開発の終了を宣言する可能性を排除しないということでした。

ワシントンが射程に
 国防総省は、ミサイルが日本海に着水するまでに1000km飛行したと述べています。
 「最近のミサイル実験に関して我々が入手した数字が正しいとすれば、北朝鮮はワシントンを含むアメリカの東海岸のほとんどの都市を射程に収めたことを示している」と、シャー・コットンはのべています。彼女はモントレーのミドルバリー国際問題研究所の非拡散研究のためのジェームズ・マーティン・センターの研究員です。
 北朝鮮は、弾道ミサイルを再び大気圏に突入させる技術を持っていないと趙明均韓国統一相は述べています。しかし、北朝鮮の核開発は当初予想されていたよりも早く進んでいます。そして、韓国は、来年核兵器を完成させる可能性を否定しないと述べているのです。
 再突入の能力、すなわち大気圏に突入するときの熱と圧力から弾頭を保護できる装置を作り上げることは、中距離ミサイルや大陸間弾道弾の開発には決定的です。

「可能な」対話
 今回の発射は、北朝鮮が9月15日に数カ月ぶりに日本上空にミサイルを発射して以来続いていた平穏を破ることになりました。
 トランプ大統領は,今年、北朝鮮を孤立させるための努力を強化し、前回のICBMの発射以来、輸出と外貨獲得手段を制限しようとしました。また中国とロシアにも圧力をかけ、北朝鮮との経済活動を停止するように求めました。しかし、両国とも対話を重視すると答えています。
 中国の主要なニュースポータルは、今回の挑発を控えめに扱っています。北朝鮮の唯一の同盟国であり、経済支援の唯一の提供者である中国にとって、タイミングは北朝鮮にとって厄介でした。というのも、1週間前に習近平平壌に特使を派遣していたからです。
 北朝鮮の非核化を巡る六カ国協議の中国側の交渉官であった楊希雨(Yang Xiyu)は、「中国にとっては厄介だ」と述べています。「全世界に対して中国は北朝鮮に対して影響力をほとんど持たないことを示す機会を北朝鮮は探していました」
 この数週間、トランプ政権は北朝鮮に対して様々なシグナルを送っていました。トランプ大統領のアジア歴訪に際しては、トランプ大統領は、核計画を終了させるための交渉を行うために、北朝鮮に「テーブルに着く」ように求めていました。その一方で、ティラーソン国務長官は、精気の交渉の事前段階で、北朝鮮と協議する準備があると述べていました。
 11月20日には、トランプ大統領は、北朝鮮を、核による破壊の脅威と海外での暗殺を含むテロ支援行為を理由に、テロ支援国家に指定しました北朝鮮は、今回の措置を「貴重な核という剣」を所持するべきだという警告だと述べました。
 ティラーソン国務長官は、ミサイル発射の後で、「今のところ、外交的オプションは利用可能であり、開かれている」と述べています。」

North Korea Test-Fires ICBM That Could Put Entire U.S. in Range - Bloomberg

 今回の発射で明らかになったのは、中国側の仲介が失敗したことを世界的に明らかにしたこと、アメリカに対してICBMを発射する能力があることをやはり全世界に対して示したということでしょう。ただ、太平洋上で核実験を行うほどのインパクトはないので、話題にならなくなっているのも事実です。マーケットの面でもほとんど影響がありませんでした。
 結果からいえば、経済的に北朝鮮が追い詰められている現状は変わりません。核実験を行えば別ですが、それも実施できるかどうかは疑問です。
 今回の発射に対してアメリカが先制攻撃を行う可能性はほとんどありません。軍事攻撃よりはソフトな対応が追求されていると見るべきでしょう。一番可能性が高いのが金正恩の失脚なのですが・・・。