北朝鮮のICBMはアメリカに対する「可能な脅威」ではない、とマティス国防長官
中国と異なり、北朝鮮が核ミサイル開発を完全に終えたとは言えない状況にあります。ですから、マティス長官がこう述べるのも無理はないでしょう。
ロイターからです。
「マティス国防長官は先週金曜日の15日に、北朝鮮が先月末に発射した大陸間弾道ミサイル(ICBM)について、現在も分析を続けているとした上で、米国にとってまだ差し迫った脅威ではないとの考えを示した。
「北朝鮮は、現段階では、まだ可能な脅威とはなりえていない。・・・我々はデジタルデータの解析を継続している」とマティス国防長官は、ペンタゴンで記者に答えた。
先月、北朝鮮は、アメリカ本土にまで到達する新型のICBM実験を成功させた。韓国とアメリカの専門家は、11月29日の実験のデータは成功を示していると述べている。
マティス国防長官は、何が欠けているために「可能な脅威」とはなっていないのかに関しては詳しく説明しなかった。
長官本人は、実験の直後に、ミサイルがこれまでのものより最も高くまで飛行し、「基本的に世界中のいたるところを脅かす可能性のある弾道ミサイル構築を継続する」研究開発努力の一環であると認めていた。
アメリカの専門家は、北朝鮮の主張に疑いをもってきたものもいるが、先月実験のデータと写真から北朝鮮がアメリカ全土に核弾道を送るのに十分力のあるミサイルを持つことになったことが実証されたように見えると述べている。
しかし、専門家とアメリカ政府当局は、弾頭を保護する再突入体を確保したのか、そして誘導システムの正確性を確保したのかについては疑問が残るとしている。
韓国国防省は、最近のミサイル発射により、ワシントンが射程内に入ったが、北朝鮮はまだ再突入体や、最終段階でのミサイル誘導、弾頭の起動に関しては完成していないと述べている。
アメリカの専門家の中には、北朝鮮はミサイルを実戦運用するためには,少なくともあと2回から3回実験が必要だと考えているものもいる。
トランプ大統領は、1月に北朝鮮がアメリカにまで届く核兵器の開発が最終段階にあると述べたとき、「そんなことは起こさせはしない」と断言している。
トランプ大統領は、全てのオプションがテーブルの上にあると述べ、その中には軍事的手段も含まれるとした。しかし、政権は外交的解決を望むということを明らかにしている。
「外交努力は継続する」とマティス国防長官は語っている。「我々が対話する準備が整えば、大統領と国務長官が担当することになるだろう」
先週の金曜の国連安全保障理事会では、ティラーソン国務長官は、北朝鮮に、二カ国観の対話を築くために核兵器実験の「中断の継続」を求めた。」
Mattis says North Korean ICBM not yet a 'capable threat' against U.S | Reuters
肝心なのは,再突入体と誘導技術、それに起爆装置ということになりそうです。特に再突入体がまだ完成していないのは、11月29日の実験からも明らかでしょう。ですから、このマティス長官の発言に疑問はないのです。しかし、グラム上院議員の発言のように事態をヒートアップさせる情報も飛び交っていることから、沈静化させるために今回の発言がなされたとみることができます。
実際に、米朝で軍事衝突が起きるとすれば、クリスマス休暇過ぎ、米軍の家族などが一度里帰りをした直後以降でしょう。しかし、そもそも、米軍の兵士の生命を朝鮮半島で犠牲にすることには抵抗が大きいと考えられます。最後の最後までアメリカは軍事手段を使わないと予想出来ます。