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北朝鮮軍の不審船が何隻も打ち寄せるのはなぜか

 日本海側に何隻も打ち上げている漁船が朝鮮人民軍に所属していることは明らかです。たしかに、破戒工作の可能性を考慮しているという側面は否定できないでしょう。しかし、それ以前に軍内部の食糧事情が相当差し迫っているようなのです。

 英エクスプレス紙からです。

金正恩政権は、朝鮮半島戦争の恐怖の中で軍事訓練が増大しているために、兵士に食糧を供給できず、120万人の兵士のうちの多くが「体調が悪く、戦っていない状態」にある。

 北朝鮮内部の譲歩筋によると、金正恩体制は最近軍事演習を増加させているが、兵士に供給する食糧供給が追いついていないとのことだ。
 両江道の情報源によれば、「第12軍の演習が今月初めに始まったが、軍の指揮官は作戦の監査中に、演習を行うように命令を受けたが、何らそれに伴う供給を受けておらず、当惑している」と述べた。
 「この後、兵士達は、イデオロギー的、肉体的演習を経て、『国家の若き英雄』になる熱意を表明するように言われた」しかし、彼らの反応は,不熱心なものにとどまった。
 金正日体制の下では,兵士二は十分な食糧が供給されていた。しかし、現体制はもはや食糧を供給できていない。
 共産主義体制は軍に自らの食糧供給を獲得するように命じられているという報告書が出たことで、兵士達は自分の食糧を確保するために農業を余儀なくされていることが明らかになった。
 両江道の情報源は次のようにも伝えている。「軍の要員が自らの食糧を確保しなければならないというのは実にばかげている。このような命令は全ての地方に伝達されている。国の全部隊に指令されている」
 第43旅団の兵士が夜に畑を荒らしていることも明らかになった。
 情報源によれば、「彼らは結束して奇襲を仕掛け、農場に展開し、全てのトウモロコシを持ち去った」とのことだ。
 「43旅団が農場を荒らすのは日常的に起きていることではない。しかし、今年はこうした乱暴狼藉が多くなっている」
 「当局は、敵と戦うことが出来るようになるためには、兵士を食べさせなければならない」
 北朝鮮の情報源に近い日本のビデオジャーナリストである石丸次郎は、「一つには、食糧を供給すべき兵士があまりに多い」「腐敗がはびこり、上官が自分に配給された食糧を市場で売りに出すときまでには、一般の兵士にはほとんど何も残されていない」
 世界食糧計画の評価によれば、約70%の人口、すなわち、約250万人が、十分な量の食糧に定期的に,そして確実に手にすることが出来ない状態にある。
 すでに、板門店を警備する兵士が非武装地帯を通じて亡命を図り、他の北朝鮮の兵士が彼に発砲するという事件が生じている。
 この過程で、彼は5度にわたって銃で撃たれた。彼の胃の中には、寄生虫があふれ、結核B型肝炎にもかかっていたことが明らかになった。
 報告によれば、北朝鮮の兵士の治療を行った外科医は、銃弾を摘出する際に、消化管に多くの白い寄生虫を発見したと述べている。
 外科医は次のように述べている。「全ては血まみれだったが、寄生虫は真っ白で、膨れあがって,大きく、大変固かった。こういったものは、腸から摘出された」
 医療班はやっとの事で寄生虫を除去したが、それらの中には10センチもの長さのものもあった。
 もう一人の北朝鮮の亡命者は、「徴兵されたことの主な困難は、常に空腹であることだ」と述べている。
 「特殊部隊の兵士には、食糧が行き届いている。しかし、首都平壌の外部に駐留している兵士には,一回の食事に2,3個のジャガイモが提供されるか、生のトウモロコシの芯かトウモロコシのライスが提供されるだけだ」
 亡命者はさらに続けた。「憲兵は、常に、食糧を探しに抜け駆けをする兵士を監視していた」
 「これらの兵士が一般市民や農場の倉庫から盗みを働くこともあった。というのも、彼らは空腹だったためだ。食べられるものであれば,彼らは盗んでいた」
 「聞いたところでは、高官の中には、兵士に盗みを命じるものもいたようだ。盗みに失敗すれば、彼らは罰せられた」
 「私の高校では、25名の男子学生がいた。5名が大学に進学し、残りの20名が軍に入った」
 「それらの半分は、栄養不良により自宅に戻った」
 「兵士達は健康の回復のために自宅に戻された。大部分は、自分で歩けないほど消耗している。だから、彼らの両親が彼らを連れて帰り、食糧を与えて療養させている」
 「体調が戻れば、彼らは軍に戻る」
 「幸運なものは、特殊部隊に配属される。そして、面倒見の良い良い上官の下で軍務につく」
 「不幸なものは、両親達が助ける前に飢え死にしてしまう。両親が祈ることが出来るのは、息子達が無事帰還することだ」」

World War 3: North Korean soldiers 'STARVING as Kim orders them into training' | World | News | Express.co.uk

 この報道が事実であるとすれば、北朝鮮の軍の内部で強烈な食糧不足が発生している可能性があります。金正日の時代とは違い、一般に北朝鮮内部には、韓国を初めとする世界の情報は相当出回っています。食糧がない軍が戦えないだけでなく、むしろ金正恩支配に反旗を翻す可能性は非常に高くなっていると考えられます。

 そして、言えることは、北朝鮮は戦争どころではないということでしょう。北朝鮮という国家が消滅するわけではないにせよ、金正恩の失脚はそろそろ時間の問題といえるかも知れません。