ジョン・ケリー首席補佐官の発言を追う
どうも、アメリカのメディアはホワイトハウスの内情を摑み損ねているようです。おそらくは、北朝鮮情勢も。
1.私はやめないしクビにもならない
ホワイトハウス首席補佐官のジョン・ケリーが木曜日に初めて記者会見を行いました。その目的は、ケリーとトランプ大統領の間の不和の噂を打ち消すためです。
ホワイトハウスのブリーフィングルームで、ケリー首席補佐官は、自分の新たな役割がこれまでで最も困難なものであることは認めながらも、辞任する予定はないと述べました。
「私は今日辞任しません。さっきも大統領と話をしてきたところです。私が今日クビになるとも思いません。だから、私がこの仕事に不満を抱いており、辞任を検討しているということはないのです。」
トランプ大統領の下で首席補佐官として仕えることは困難であることを認めつつも、現在の仕事は、最高のとまでは言わないまでも「私のこれまでの仕事の内最も重要なもの」であると述べました。 そして、ケリーは、こんなことは海兵隊で三等軍曹に昇進して以来だと冗談めかして語りました。
「事態が変わらない限り、私はやめるつもりはありません。私はクビにもなりません。また、誰かがクビになるとも思いません」とケリーは続けた。
7月末に首席補佐官に就任して以来、 退役した海兵隊大将はすぐに混乱を極めていたウエストウイングの秩序回復のために動きました。その中には、大統領執務室(オーヴァル・オフィス)への立ち入り禁止と、トランプ大統領への情報提供ラインの確保も含まれます。
しかし、こうした措置はホワイトハウスの幹部や外部のトランプの同志をいらだたせました。そのために、彼らはケリーを批判し始めました。トランプが実業界にいたとき、もしくは選挙運動期間中のように自由に話せなくなったためです。
トランプ大統領がケリーに対して不満を募らせていたという兆候はありました。ロサンゼルスタイムズは、匿名の情報源から、先週、ケリーが科した制約を巡ってトランプとケリーは「大声で喧嘩をした」 と伝えています。
ケリーが万一早期に辞任するのであれば、既に多くのスタッフが辞任し、トランプの統治能力が疑問視されているところに、ホワイトハウスのさらなる混乱を招くことになるでしょう。
ケリーの前任者であるラインス・プリーバス、 スティーブ・バノン、メディア担当補佐官であったシーン・スパイサー、二人のコミュニケーション担当ディレクター、安全保障担当補佐官であったマイケル・フリンは皆解任されました。
しかし、トランプ大統領は、新任の首席補佐官が辞任寸前であるというメディアの報道を何度も批判していました。
「またフェイクニュースだ。今度は私の知る最も立派な人物であるジョン・ケリー将軍を傷つけようとしている。彼がすぐ辞任するというのだ」とトランプ大統領は火曜日にツイートしています。
「この話は、不正直なメディアによる完全なでっち上げだ。首席補佐官は私と、そしてより重要なことだが、アメリカのために素晴らしい仕事をしてくれている」
木曜日の午後に国土安全保障省長官の後任人事を発表する際に、トランプ大統領は、ケリーを「素晴らしい海兵隊出身者」と絶賛し、彼は素晴らしい仕事をしてくれていると述べていました。
ケリーはホワイトハウスでの役割を明らかにしようと試みていました。そして、大統領を賞賛する一方で、ケリーがトランプの行動を制御しようとしているという主張を否定しようとしていました。
「私はトランプ大統領を制御するためにホワイトハウス入りしたわけではありませんよ」とケリーは記者に述べました。「皆さんの考える私のなすべき仕事という観点から、首席補佐官の仕事ぶりを評価していただきたくはありません。」
ケリーがホワイトハウスのブリーフィングルームに現れることは滅多にないことですが、この退役した将軍は実に気安くメディアに対応していました。これはトランプのチームにあっては珍しいことです。その一方で、ケリー首席補佐官は雄弁に大統領の発言と行動を擁護していました。
ケリーは「(記者席の)最前列にいる皆さんが最も重要なのでしょうか」と大声でとぼけて見せた。すると、記者席からはクスクス笑いと「ちがう」という声が上がりました。
首席補佐官は、大統領の話に切り替えました。トランプ大統領は、この数日間、報道の正確さを批判することで、報道機関と戦っているのだと述べたのです。
「トランプ大統領の不満の一つは、(記者である)あなた方、あなた方全てなのです」とケリーは記者達に語った。「間違った報道がなされていることには私も驚くばかりです。皆さんはもうすこし良い情報源を作られた方が良いのではないですか」
それと同時に、首席補佐官はホワイトハウスの記者達と円滑な関係を築こうともしています。そして、これまでに3度オフレコの記者との対談を行っています。
Kelly: I'm not quitting or getting fired | TheHill
2.北朝鮮問題に関して
また、同じ記者会見で、北朝鮮問題に関して、今年初めの下院での記者会見では、ケリー首席補佐官は「アメリカ国民は、優れたICBMを開発し、優れた大気圏再突入装置を開発している国家のことに懸念を持っておられるに違いありません。」と語っていました。
米国の高官が情報の評価を述べることはまれですが、今回は次のように発言しています。
「現在グアムに済んでいるアメリカ市民は心配しているでしょう。現在は、この脅威は管理可能であると我々は考えています。しかし、時間が過ぎれば、現状よりも脅威が増大すれば、外交が機能する出番だと思います」
White House chief of staff: Americans should be concerned about North Korea - CNNPolitics
とまあ、基本的には外交で処理すると仄めかされいます。ですから、現状でアメリカの先制攻撃で戦争になる可能性は低いといえます。