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ロシアの間の悪い軍事演習

 アメリカを批判することが、現在のロシアにできるかといえば、それは否でしょう。にもかかわらず、あえてEU諸国に疑心暗鬼を生む軍事演習を行うとは、プーチン老いたのでしょうか。

 

 老いたと言うことではないにせよ、自身が大統領選にそれだけ執着しているということなのでしょう。ロシア国民に対してマッチョなところを見せなければ、まずいという認識があるのだと思います。日経新聞から紹介します。

「 【モスクワ=古川英治】ロシアは14日、同国北西部とベラルーシ一帯でベラルーシとの大規模な合同軍事演習を開始した。北大西洋条約機構NATO)や欧州諸国は10万人規模の部隊が参加する冷戦後最大級の軍事演習になるとみており、前線に位置する東欧は警戒を強めている。ロシアは欧州との緩衝地域と位置づけるベラルーシを取り込み、欧州を威嚇する狙いと見られる。
 ロシアは「ザーパド(西)」と呼ばれるベラルーシとの合同軍事演習を4年ごとに実施している。今回の演習はベラルーシと、ポーランドリトアニアの間に位置するロシアの飛び地カリーニングラード州が敵国から支援を受ける「テロリスト」に侵略されたという想定で、20日まで続く。
 ロシア側の発表では、同国軍5500人、ベラルーシ軍7200人が参加。戦車約250両、空軍機70機、バルト艦隊10隻を投入するとしている。ロシア軍は14日「防衛を目的とした演習であり、特定の敵は想定していない」と強調した。
 これに対し、欧州諸国はロシアの発表を大きく上回る部隊が投入されるとみる。ドイツのフォンデアライエン国防相やエストニア政府はロシア軍「10万人以上」が投入されるとの見方を示した。ロシア軍は同国からベラルーシへの軍装備や部隊の輸送に4000両を超える鉄道貨車を使ったとの情報もある。
 ロシアも参加する欧州安保協力機構のウィーン議定書では、1万3千人以上の部隊が参加する軍事演習は他国からの監視団に公開し、透明性を確保することを義務付けている。NATOのストルテンベルグ事務総長は6日、NATOの専門家監視団が3人しか認められなかったと批判した。
 前回13年のザーパド演習ではロシアの公式発表の6倍に当たる7万5千人の部隊が投入されたとされる。ロシアは翌年、ウクライナに侵攻し、クリミア半島を併合、同国東部にも軍事介入した。08年にはロシア南部カフカス地方で大規模な演習を実施した後にジョージアグルジア)に侵攻した。
 ロシアはウクライナ東部への介入を続けながら、欧米に対する威嚇行動を繰り返し、緊張をあおるやり方で欧州諸国を分断しようとしてきた。来年3月には大統領選を控えており、今回の演習で国内向けにNATOに対抗する大国ぶりを演出する思惑もありそうだ。(後略)」

www.nikkei.com

 もうEU諸国からの制裁解除はあきらめましたという布陣です。しかも、ベラルーシで演習を行ったロシア軍はそのまま黙って引き返すのか。そのままベラルーシに滞在するのではないか、という疑念を周辺諸国に生んでいます。

 しかも、その一方でオホーツク海において人民解放軍海軍と合同演習を行っていましたね。

今週の北朝鮮の暴発はないだろう。 - FirstHedge 明日の投資情報

 この2カ所の演習から逆算すれば、ロシアは全世界を敵に回しても怖くはないと自己主張しているようにも見えます。アジアでは中国と組み、東欧ではベラルーシと組み、全世界を支配しようとでも言うのでしょうか。バルト3国でロシア軍が侵略を開始すれば、4000名ほどのNATO軍はひとたまりもないでしょう。文字通り第三次世界大戦の幕が開けることになります。リトアニアカリーニングラードと挟撃されれば、瞬く間にラトビアエストニアはロシアの手に落ちるでしょう。

 いらだちはわかるのですが、ロシアは早く軌道修正した方が良いでしょう。