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バイデン政権の外交政策

今更隠すことでもないですが、バイデン政権が成立するとすれば、対外政策立案に関わるのはアントニー・ブリンケンという人物です。

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本人のツイッターより

雰囲気が、田村正和に似ていますね。それはともかく、彼の言動からバイデン政権の米国の外交政策を予測することが出来ます。

 まず、キャリアをチェックしておきましょう。

「Antony BlinkenはWestExec Advisorsの共同創立者であり、マネージング・パートナーであり、現在はバイデン陣営の上級外交政策アドバイザーを務めています。30年以上にわたり2つの米国政権で外交政策の上級職を歴任し、直近では2015年から2017年まで国務副長官を務めました。ブリンケン氏は国務副長官として40カ国を訪問し、ISILとの戦い、アジアへのリバランス、世界的な難民危機などの外交を主導しました。国務省に勤務する前は、ホワイトハウス大統領補佐官オバマ大統領の国家安全保障担当主席副補佐官を務めた。 政権の主要な外交政策立案の場である省庁間代議員委員会の委員長を務めた。オバマ政権1期目には大統領補佐官兼副大統領国家安全保障アドバイザーを務めた。2002年から2008年までは上院外交委員会の民主党スタッフ・ディレクターを務めた。ジョンズ・ホプキンスSAISの著名な学者でもある。 」

Hon. Antony Blinken — Foreign Policy for America

これだけキャリアを並べるだけでも、ブリンケンがいわゆる東部エスタブリシュメントの典型的リベラルであることはわかるでしょう。特に、オバマ政権の外交問題の副補佐官ですから、次は外交問題補佐官か、国務長官かと言う人物です。彼の言動がバイデン政権の基本的な外交政策を構築すると言えるでしょう。特に当時のバイデン副大統領の非常に緊密な顧問であり、バイデン大統領選挙運動の大統領の外交政策チームを率いる人物として、トニー・ブリンケンよりもバイデン政権の外交政策がどのように見えるかについて話すのに適した場所にいる人はほとんどいないといえる。

  ブリンケンが対中政策で協調するのが民主主義です。つまりアメリカ国内の民主主義がうまく機能していないので、中国を戦略的に有利な立場に立たせているというのです。それでも、きほん、ブリンケンは無責任だと思います。というのも、かれが次のように述べているからです。

価値観に関しては、香港の民主主義の取締、中国でウイグル人の人権の抑圧虐待に対応することが問題に成る時、アジアで私たち自身の価値観のために立ち上がることを放棄することは、北京の政府に、無罪の感覚を与えてしまっている。

これってそのまんまオバマの対中政策だったのではないでしょうか。せめてオバマ政権の時にもうすこし中国にきちんと対応していれば、個々まで中国が増長することはなかったはずです。

また、ブリンケンの次のような発言にも大きな疑問を抱かざるえません。

「トランプ政権の中国との戦いのアプローチの欠陥であると私が思うことの1つは、それが私たちの同盟国やパートナーではなく、彼らなしで、実際に彼らを疎外しながら行われていることです。」

実際には、クアッドという枠組が出来つつあります。それに日本がファイブ・アイズに加盟すれば、大きな枠組が出来るではないですか。韓国を疎外しているというのであればわかりますが。ここで疎外されているのはおそらくはNATOの加盟国のドイツなどを指すのでしょう。

基本的に中国とは出来るだけ協力して、戦争に繋がるようなことはしないというのがブリンケンの考え方です。

もう一つ挙げるとすれば、ブリンケンの基本的方針の一つは従来の同盟の枠組みの維持と言えるでしょう。

中東に関しては、イランの核合意に戻るべきだというのが基本的な考えです。これまでイスラエルを中心にして転回されてきた米外交の全面否定ですね。これでは、中東の秩序が崩れるかも知れません。せっかく、イスラエルとUAUE、バーレーン等の国が国交を結び中東が安定化仕掛けている時に、アメリカがイランとの核合意に走れば、中東でのアメリカに対する信用は地に落ちるでしょう。そして、イランが勢力を巻き返すので帰って戦争になる可能性が高いとも言えます。

 基本的にブリンケンには中国の野心に対する警戒感と中国の覇権を追求する活動に対して鈍感であるところが彼の政策の特徴と言えるでしょう。

 このままでは対中無策のオバマ時代の対中政策無策に逆戻りということになりそうです。