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黄金の20年代とバフェットの深慮

株で富を築くバフェットの法則[最新版]

 結局しわいおっさんだと思うのですが、すこしフライングだったのではないでしょうか。

ブルーバーグがバークシャーハサウェイによる日本の商社株の購入について次のように伝えています。

 「 米投資・保険会社バークシャー・ハサウェイは日本時間31日、日本の5大総合商社株を5%をわずかに上回る比率まで取得したと発表した。伊藤忠商事三菱商事三井物産住友商事、丸紅の5社をそれぞれ取得した。それぞれの株式について、長期保有を目的としており、価格次第では最大9.9%まで保有比率を高める可能性があるとした。
 発表資料によると、5大商社の株式は過去約12カ月間に東京証券取引所で取得した。子会社を通じて同日に関東財務局に大量保有報告書を届け出る計画で、投資先の取締役会からの合意が得られなければ9.9%を超えて取得することはないとしている。
 バークシャーを率いるウオーレン・バフェット氏は発表文で、「バークシャー・ハサウェイが、日本や投資先として選んだ日本の商社の未来を共有できることをうれしく思う」とコメント。「5大商社が世界中で多くの合弁事業を手掛けており、こういった取り組みをさらに増やす可能性がある。将来、相互利益の機会が生まれることを期待している」との見解を示した。
 住友商の広報担当は、大量保有報告書バークシャーのウェブサイトで発表内容は確認しており、5%強の大株主になることからしっかりと対話したいと述べた。伊藤忠の広報担当は、世界有数の投資家が商社に関心を示してくれたことは良いニュースと受け止めており、今後の商社業界に対する起爆剤になるとの見方を示した。」

バフェット氏が日本の5大商社に投資、「相互利益の機会に期待」 - Bloomberg

 この記事だけを読めば、「やっぱり投資の神様は違う」ということになるのですが、少し待って欲しいのです。少し前のブルームバーグでは

「 バークシャーの規模はバフェット氏の功績だが、問題もある。投資家の関心を引き続けるには、大型の買収や自社株買いが必要だということだ。バフェット氏は最近、大型買収を仕留めることができず、過去5年間の同社株価のパフォーマンスはS&P500を下回っている
 今年3月に相場が急落し、バリュエーション(株価評価)が低下した際にもバフェット氏はほとんど動かず、バークシャー株の投資家は疑問を感じ始めている。BNSF買収やゴールドマン・サックスクループ優先株投資など、バフェット氏が過去にまとめ上げたような独特で複雑な取引がもはや見られないなら、時代遅れの企業がぎっしり詰まった巨大企業連合に投資しているだけなのではないのか、という疑問だ。」

危機でも動かなかったバフェット氏、バークシャーの弱点浮き彫りに - Bloomberg

結構、酷評されていますね。「時代遅れの企業がぎっしり詰まった巨大企業連合」とまで言われれば、もう見る影もありません。しかし、バフェット氏は、ここで敢えて日本の商社株を購入したわけです。しかも日本で社債を発行して(つまり身銭を切らずに)日本の商社株を大人買いしたわけです。

 バフェットと言えば状況が変化しない限り長期保有で知られています。つまり、日本株にはそれだけの投資妙味があるというわけなのでしょう。普通に考えれば、中国なき世界の経済成長を見込んで日本株に踏み入れたとも見ることが出来るのではないでしょうか。英国がEUを離脱したのはなぜだったのでしょうか。それはヨーロッパには将来がないからではなかったでしょうか。おそらく米中対立はアメリカの勝利に終わるでしょう。中国共産党体制がこの世界から消滅すれば、中国周辺地域の独立とその経済的再建が問題になるでしょう。その際に巨額の投資がなされることでしょう。そこで利益を上げるのは、商社株という計算があったのかも知れません。少なくとも言えることはバフェットはこれからインフレになると見込んでいることでしょう。