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安倍首相の「病気」の理由

油断!/団塊の世代 (堺屋太一著作集 第1巻)

あるとき、ふと商売が止まってしまうというのはこれまでにもよく見られた現象です。しかし、これから中国との貿易が出来なく成るという事実をまだ日本の財界は受け入れられないようです。

 「 サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコは、中国に100億ドル(約1兆600億円)を投じて石油精製・石油化学複合施設を建設する合弁プロジェクトを凍結した。事情に詳しい関係者が明らかにした。同社は原油安に対処するため支出削減を進めている。
 匿名を条件に語った関係者によると、サウジアラムコは中国のパートナー企業との協議を経て、遼寧省に施設を建設するための投資を停止すると決定した。不透明な市場見通しが理由にあるという。このプロジェクトはムハンマド・ビン・サルマン皇太子が昨年2月に北京を訪問した際に調印され、サウジと中国の間で結ばれた画期的な合意だと当時見られていた。
 サウジアラムコはコメントの要請に今のところ応じていない。同社のパートナー企業の1社である中国北方工業(ノリンコ)に電子メールでコメントを求めたが、返答はない。別のパートナー企業である盤錦にも電話と電子メールで連絡を試みたが、返答はなかった。」

サウジアラムコ、1兆円規模の中国合弁プロジェクト凍結-関係者 - Bloomberg

 サウジアラビアは、中国との関係の断絶を求められているから、いきなり投資が凍結されたわけです。これは明日の日本の話です。

 話は変わりますが、最近安倍首相の消耗した姿がしばしばニュースになっています。仮に、安倍首相が病気でないとすれば、何らかのプレッシャーが働いているためではないかと考えられます。つまり、中国との関係を重視するべきという主張と周国とは距離を取るべきという主張です。

 ここで最近安倍首相と会食をした人のリストを挙げてみましょう。

6月19日
東京・虎ノ門のホテル「アンダーズ東京」。レストラン「ザ タヴァン グリル&ラウンジ」で麻生太郎副総理兼財務相、菅官房長官甘利明自民党税制調査会と会食。
6月20日
東京・永田町のザ・キャピトルホテル東急。レストラン「ORIGAMI」で秘書官と食事。
6月22日
東京・丸の内のパレスホテル東京。日本料理店「和田倉」で細田博之自民党元幹事長と会食。
6月24日
東京・赤坂の日本料理店「たい家」。自民党二階俊博幹事長、林幹雄幹事長代理と会食。
7月1日
松尾新吾九州電力特別顧問、石原進JR九州特別顧問、仏壇仏具販売「はせがわ」の長谷川裕一相談役と会食
7月3日
東京・赤坂の日本料理店「もりかわ」。葛西敬之JR東海名誉会長、北村国家安全保障局長と会食
7月13日
宮家邦彦キヤノングローバル戦略研究所研究主幹、吉崎達彦双日総合研究所チーフエコノミストと会食。
7月21日
東京・松濤のフランス料理店「シェ松尾 松濤レストラン」。長谷川首相補佐官、鈴木外務審議官、秘書官らと食事。
7月22日
東京・銀座のステーキ店「銀座ひらやま」。自民党二階俊博幹事長、林幹雄幹事長代理、プロ野球ソフトバンク王貞治球団会長、俳優の杉良太郎氏、政治評論家の森田実氏、洋画家の絹谷幸二氏らと会食。
7月30日
東京・丸の内のパレスホテル東京。日本料理店「和田倉」で岸田文雄自民党政調会長と会食。

ここからは、全くの推測ですが、二階幹事長と林幹雄幹事長代理は共に二階派なので、中国の意向に沿った要求が首相に提示されたと考えるべきでしょう。その一方で甘利税調会長の発言として、日本企業が中国とのビジネスを断念すべきと言う発言が伝わっています。そもそも、甘利明氏を会長とした「ルール形成戦略議員連盟」は「TikTok(ティックトック)」を念頭に、中国企業が提供するアプリを使うと、利用者の個人情報が中国政府に渡るおそれがあるとして、利用制限を政府に求める提言の取りまとめに着手しています。

 つまり、現在の日本の政界・財界は、対中政策の点で大きく分断が見られるのです。誰にも言えないこの分断に苦しめられているのが安倍首相なのではないでしょうか。