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日本がファイブアイズに入る障壁

GCHQ (English Edition)

 オルドリッチのこの本はおすすめですよ。ファイブアイズがどうして出来たのかがよくわかります。

 ファイブアイズは、第二次世界大戦中の米英の暗号解読の協力活動が基盤となって、それを戦後も継続させようとして出来た枠組のことです。ご存知のように、ドイツのエニグマ暗号も日本海軍の暗号、外務省の暗号もほぼ解読されていました。日本もある程度までは解読していたのですが、徹底的に行っていたのはアングロサクソンでそれが戦いの帰趨を分けたわけです。

 最近ではファイブアイズは対中国同盟という意味も付加されつつあります。ですから、その延長線上で日本もどうかというのは自然な流れなのですが、そのためにはクリアしなければならない障壁が二つあります。

 一つは、ファイブアイズはインテリジェンス同盟なので、こちらから情報を提供しなければ、他の加盟国から情報を提供してもらえないという事です。日本が提供出来る上方としては、北朝鮮や中国のシギント情報が挙げられます。ただ、現段階でもこうしたインテリジェンスは米軍に提供されているはずで、新たに何か提供出来る上方があるかどうかは疑問です。後は、衛星画像情報でしょうかね。これならば少しは提供の余地はありそうです。

 二つ目は、日本の機密保持体制が十分なのかという事です。日本には英国のようなMI5がありません。スパイ狩りをする組織もないのに大丈夫なのかと言う懸念は加盟国から必ず出されるでしょう。そもそも論で言えば、今の日本には、全国を管轄とする国家警察が存在しないのです。それで日本国内でスパイがリガ出来るのかということです。せめて国家警察を創設してからでなければ、公式に参加は難しいかも知れません。そうはいっても、英国を始めとする西側諸国との防衛協力がこの数年で急速に進んでいるのは、日本にも機密保持法が成立したためで、案外これでお目こぼししてくれるかも知れませんが。