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中印衝突は中国の挑発

スペシャル・フォース (字幕版)

 中印衝突の実態が少し筒明らかになってきました。

 BBCのほうどうによれば、「インド当局は16日、中国と国境を争うヒマラヤ山脈地帯で両国軍が衝突し、インド兵が少なくとも20人死亡したと発表した。両国軍の衝突で死者が出たのは、過去45年以上で初めて。このところ両国の緊張が高まっていた。」とあります。AFP通信によると、中国外務省の趙立堅報道官はインド側が15日に2度、国境を越えたと主張。「中国側を挑発、攻撃し、双方の国境軍同士の深刻な身体的衝突を招いた」と述べた。とはいうものの、両国が戦争状態となったのは1962年のみ。このときはインドが屈辱的な敗北を喫しています。60年近く安定していた実効支配線付近での死者ですから、ただ事ではないと言う事は出来ます。周辺の状況が悪ければ、このまま戦争になってもおかしくないところですが、今のところは双方が自制しています。

「 インド外務省によると、ジャイシャンカル外相は17日、中国の王毅外相と電話会談し、同月6日に両軍当局者が緊張緩和で合意した後も、中国がガルワン渓谷のインド側に「構造物」を建てようとしたと伝えた。この構造物が何であるかは明らかになっていない。
 インドの偵察隊が、実効支配線から軍を後退させたとする中国側の主張を確認するために稜線近くまで出向いた際に問題が発生したと、状況を知る2人の政府筋は説明する。
 中国軍は後退し、テント2基と小さな監視台を残していた。インド側は監視台を破壊し、テントを燃やしたという。
 上に掲げた衛星画像は16日朝に撮影されたもので、実効支配線のインド側の高台に、この監視台の跡の可能性があるがれきが写っている。1週間前に撮影された画像には、そのような構造物はなかった。
 しかし、インドの対応は反発を招いた。中国軍兵士の大隊が到着し、インドの部隊とにらみ合った。情報筋によると、彼らは実効支配線付近での行動規則にのっとって軽武装だった
 氷点下の寒さのガルワン渓谷で両軍が衝突した翌16日に撮影された衛星写真には、1週間前よりも活動が活発になっている様子が捉えられている。
 地球画像を専門とするPlanet Labsが撮影した衛星写真には、ガルワン渓谷で道を広げ、土木工事を行い、川に渡河地点を築いたとみられる様子が記録されていると、ある専門家は指摘する。
 衛星写真には、はげ山とガルワン川沿いに置かれた機材が写っている。
 米カリフォルニアのミドルベリー国際大学院で東アジア不拡散プログラム担当ディレクターを務めるジェフリー・ルイス氏は、「中国が渓谷に道路を建設しているほか、川をせき止めている可能性があるように見える」と指摘する。」

アングル:衛星写真で判明、インド軍との衝突前に中国軍が活発化 - ロイター

 インド側も道路を建設していたようですから、ここに来て中国が活動を活発化させたのが直接的な原因であったと言えるでしょう。しかし、殴り合いの殺し合いにまで発展させる必要はなかったのですから、これは中国側がインドの対応を口実に強硬な対応に出た見るべきでしょう。

 これは実に成り行きとしてはわかりやすい対応です。習近平は、外交的にも孤立し、とくにアメリカから多方面にわたって圧力を受けています。実際の所、アメリカには勝てないと判断しているので、アメリカよりは弱い地域で何らかの勝利を手にしようと焦っているのです。尖閣もそう、南シナ海も同様です。とりあえず、アメリカの軍事力が届かない地域で、いわばでかいツラをしているわけです。

 しかし、こうした対応は、インドの米国への傾斜を一層促進することになるでしょう。現在の中国共産党の支配体制が崩れそうになれば、インドが中国に進攻し、チベットや新疆ウイグル地区に入り込み、これらの地域をインドの影響力が及ぶ地域として独立させることでしょう。

 インドの立場から見れば、既に火の手は上がったという事ですから、インドの対中姿勢は今後ますます厳しいものになるでしょう。国内の情勢も不安定な時期なのだからもうすこし大人しくしていればと思うのですが、それが出来ないのが中国クオリティーでしょう。