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トランプは本当に大丈夫なのか

もっともあぶない刑事

 最近、知り合いと話をしていますと、「トランプ大統領のことは悪く言わない方が良いですよ」といわれました。どうも、トランプ大統領のことを悪く言うと気を悪くする方が多いようです。それでも、ですよ。危ないものは危ないのではないでしょうか。

 日経新聞のコメンテーターの秋田氏は次のように主張しています。

 「将来、在韓米軍の機能が衰え、縮小、撤収につながっていくと、中国をにらんだ地政学図が変わってしまう危険もある。米安全保障当局者は「韓国に米軍を置くのは、朝鮮半島で中国の影響力が強まるのを防ぐ意味もある」と話す。
 逆に、中国からすれば、米軍を追い出し、朝鮮半島全体を自分の影響圏に含めたいと考えているだろう。中国は今後、在韓米軍の撤収をもっと強く迫るよう、金正恩キム・ジョンウン)委員長に促す可能性がある。
 今後の展開を占ううえで、最大の変数になるのがトランプ氏の出方であることは言うまでもない。とりわけ気がかりなのが、米軍の海外駐留は米国の利益にならず、損失である、と考える異質の同盟観だ。
 一連の米報道によると、米朝交渉が始まる前から、トランプ氏は在韓米軍を維持するコストを問題視し、縮小を望んでいた。記者会見やツイッターでも、彼は一貫して演習費が無駄金であるかのように批判している。
 海外駐留コストを節約したがるトランプ氏の思考は今後、在日米軍にも向けられかねない。日本政府関係者らによると、トランプ氏は安倍晋三首相との複数の会談で、在日米軍の駐留費が高いことに不満を漏らしているという。
 こうした負担増の要請は過去にもあったが、米軍を日本に駐留させることが米側の国益になることを疑った大統領は皆無だった。インド太平洋に関与するうえで、米軍のハブ機能を務める在日米軍は欠かせないと知っていたからだ。米世界戦略にとって、在日米軍の重みは在韓米軍よりもさらに大きい。
 しかし、トランプ氏がどこまでこの前提を踏襲するつもりなのか、疑問だ。日韓などが駐留費の負担増を渋れば、米軍撤収をちらつかせかねない危うさがある。そうなれば、中ロや北朝鮮に囲まれた日本の安全保障政策が揺らいでしまう。」

トランプ氏、危うい同盟観 米韓大規模演習打ち切り (写真=聯合・共同) :日本経済新聞

 このまま行けば、日本が中国、そして統一朝鮮の軍事的圧力に対して一人で対抗しなければならなくなるかも知れません。これは日本の自衛隊の軍事ドクトリンには想定されていない状況であるはずです。

 現在、慰安婦問題、徴用工問題のために、韓国との関係はほぼ断交状態の寸前にあります。韓国の側としては、日本から金を搾り取れないのなら、せいぜいハラスメントでもしてやろうということなのでしょうが、それ以前にアメリカが韓国防衛の意欲を失っていることに気がつかないのでしょうか。

 文在寅が在韓米軍の撤退を望んでいるとしても、その結果、韓国は国家存続の危機に立たされることを自覚していないのです。核さえあれば、統一朝鮮として、日本はおろか、中国や米国も手が出せなくなると文在寅は考えているのでしょうが、アメリカとの関係悪化は、韓国経済の弱体化に直結します。ただでさえ、不調な韓国経済がカオスに転化してしまうのです。そんな段階で、北朝鮮と統一を図っても、国内は混乱するだけで、防衛力をなくした統一朝鮮は容易に中国、ロシアの侵略を招くことになるでしょう。あるいは、中国が朝鮮半島を占領した後に、ロシアが乗り出してくるという可能性もあるかも知れません。

 しかし、最も注目すべきなのはやはりトランプ大統領です。トランプ大統領は、アメリカが第二次大戦以降構築してきた同盟システムを崩壊させようとしています。特に顕著なのが、この朝鮮半島と欧州です。本音を言えば、NATOをやめたくて仕方がないのではないでしょうか。

 確かに、経済的負担はありますが、その反面、アメリカが手にしてきた利益もあるはずです。その利益が目に見えないトランプ大統領は、金銭的に釣り合わなければ、同盟解消と主張しているのです。

 これでは、いざというときにアメリカを防衛してくれる国がなくなってしまいます。単独で、ロシアや中国の脅威に対抗出来るのでしょうか。そんなはずはありません。ですから、トランプ政権の行き着く先は、巨大な引きこもり国家なのです。この点でトランプ大統領は大きな誤算をしているといわねばなりません。