オバマの野望、潰える
シリア情勢で大きな動きがありました。これでオバマ大統領の野望は完全に挫折しました。
オバマの野望とは、シリアのアサド大統領の打倒でした。これは彼の在任中に始まった「アラブの春」でアメリカにより計画されていたことです。
こう書くと、陰謀論と敬遠されるかもしれませんが、SNSを使って拡大中東地域の政府を揺さぶろうとしていたのは事実です。この計画が躓いたのが、エジプトであり、ここでのシリアでした。
シリアでは、サウジやカタールによって支援された反政府勢力が、アサド体制側を攻撃しきることができず、だらだらしている間に(笑)、イスラム国やぬスラ戦線といったイスラム過激派をシリアに結集させることになりました。
それでも、オバマ大統領はアサド政権の打倒を主張したために、収まるものが収まらなくなり、結果として、シリアへのイラン・ロシアの影響力の拡大を招いたのです。
そこで今回のニュースです。
「 アラブ首長国連邦(UAE)政府は27日、シリアの首都ダマスカスにある大使館を再開した。シリアのアサド政権は、2011年に始まった内戦でかつて反体制派を支援したUAEから後押しを得た格好となった。
UAEは、大使館再開は国交を正常化し、「アラブ・シリア情勢」への地域内での介入リスクを抑制する狙いがあると説明。名指しはしなかったものの、アサド政権の後ろ盾である非アラブのイランが念頭にあることは明らかだ。
UAEのガルガシュ外務担当国務相はツイッターに「シリア情勢の次の段階にはアラブの関与と対話が必要だとの確信に至ったことを受けた決定だ」と投稿した。
大使館はシリア内戦の勃発後間もなくして閉鎖されていた。
シリアはまた、7年前にアラブ連盟の参加資格を停止されているが、UAE大使館再開はシリアとアラブ諸国との関係再構築に向けた一歩となる。ガルガシュ氏はアルアラビーヤTVに対し、アラブ連盟への再加盟にはアラブ諸国の合意が必要だと述べた。
シリアで2011年に反政府デモが始まった際に米国の駐シリア大使を務めていたロバート・フォード氏(現中東研究会フェロー)は「UAEはシリアと経済および外交関係を再構築することで徐々にイランの影響を抑えられると期待しているようだ」と指摘した。
シリア内戦ではUAEは反体制派を支援したが、反体制派筋によると、サウジアラビアやカタール、トルコほど表立った支援は行わなかったという。
米国務省はUAEの在シリア大使館再開についてコメントしていない。」
これで、サウジアラビアもシリアと国交を回復し、少なくとも外交関係だけは「アラブの春」以前に戻ることになるはずです。トランプ大統領のシリア撤退の決定も、当然軌を一にしたものであると考えられます。シリアを国際社会に復帰させることで、アメリカはシリアへの負担を軽減するというのがトランプ大統領のアイデアです。
「アラブの春」では、アメリカは、いくつかの政府を打倒しただけで、静からしい成果は全く上げることができませんでした。この点ではオバマ大統領は批判されるべきでしょう。