FirstHedge 明日の投資情報

投資を搦め手で分析します。

共和党で袋だたきにあうトランプ大統領

袋だたきの日本―甘くない平和国家の道 (1972年)

 前々回のエントリーでトランプの対ロ政策に言及しましたが、首脳会談が終わってみれば、やはり米共和党からの批判は激しいものでした。

 「16日にロシアのプーチン大統領と共同記者会見したトランプ米大統領の言動に共和党議員から厳しい批判が相次いだ。
 トランプ大統領は16日にフィンランドヘルシンキプーチン大統領と会談後に記者会見で、ロシアによる大統領選への干渉疑惑を巡るモラー特別検察官の捜査は「最悪」だと述べ、ロシアによる2016年米大統領選への干渉疑惑を疑問視し、米情報当局とプーチン大統領とを同程度に信頼していることを示唆プーチン大統領が米ロ関係改善の方法としてトランプ氏勝利を支持していたことを明らかにした後でも、ロシアが選挙に干渉する理由は全く見当たらないと発言した。
 これについてマケイン上院議員は声明でトランプ氏の発言について、「記憶の限りにおいて米大統領による最も恥ずべきパフォーマンスの1つだ」とした上で、「専制君主の前で大統領がこれ以上情けなく卑下した大統領はかつてない」と非難。トランプ氏のだまされやすさや利己主義などによるダメージは計り知れず、「ヘルシンキでの首脳会談が悲惨な誤りだったことは明白だ」と付け加えた。
 今年の中間選挙で再選を目指さない方針のフレーク上院議員ツイッターで、「米国の大統領がロシアの大統領と同じステージに立ち、ロシアの攻撃の責任を米国のせいにする日が来るとは考えてもみなかった。情けないことだ」と語った。
 来年1月で議会を去るライアン下院議長は、2016年米大統領選へのロシアによる干渉に「疑問の余地はない」と述べ、「大統領はロシアがわれわれの同盟国でないことを十分に理解しなければならない。米国はロシアに責任を取らせ、同国による民主主義への卑劣な攻撃をやめさせるよう注力する必要がある」と強調した。
 上院情報特別委員会のバー委員長は、プーチン大統領が選挙への干渉を命じたとの調査結果に矛盾するプーチン氏の見解は「うそであり、米大統領がうそと認めるべきだ」と指摘。「米国はわが国や同盟国に敵対的なロシアの活動を容認しないと明示する必要がある」と述べた。上院情報特別委は調査を実施し、プーチン大統領が16年米大統領選への干渉を命じたとする米情報当局の調査結果を支持している。」

トランプ大統領が「恥ずべき」言動-米ロ首脳の会見で共和党から批判 - Bloomberg

 袋だたきと言っても、よくみればリタイアが決まっている議員がほとんどです。それは置くとしても、EUを反故にして、ロシアを選択するというのは、従来の米外交のあり方から、大きく逸脱した方針であることは間違いありません。

 この路線を延長するならば、アメリカがNATOから脱退、そして、場合によっては米ロの連合軍がヨーロッパ諸国に軍事的圧力を加える可能性すら視野に入ってきます。ロシアのような、形式的には民主主義国家でも専制国家の趣を多分に残した国家との関係を尊重し、ドイツなどの民主国家を捨て去るというのであれば、民主主義国家のリーダーとしての立場も、今後のアメリカは放棄するということになります。

 第二次大戦後、アメリカが国際社会に掲げてきた自由や人権、それに民主主義といった理念から離脱するということを宣言したわけですから、今後の国際社会は大荒れになる事でしょう。