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安倍首相訪米! 日米首脳会談からみる米朝交渉

勇午 北九州・対馬編 (イブニングコミックス)

 トランプ大統領金正恩と会談を行う可能性が高くなってきました。これまでは、首脳会談そのものが無理なのではないかという観測も流れていましたが、今回の日米首脳会談で多くの事実が明らかにされました。そこから判断する限り、今回の訪米は安倍首相にとって苦いものになったようです。

  「マイク・ポンペオCIA局長は数週間前、ドナルド・トランプ大統領の首脳会談にむけて金正恩に会うために北朝鮮を訪問した
 現在議会で国務長官の承認を待っているポンペオ長官は、は、3月31日と4月1日の週末に極秘裏に北朝鮮を訪問した。ワシントン・ポスト紙が初めて報道したこの外訪は、前例のない米朝首脳会談の前に実施された。トランプ大統領は、「6月初めまたはそれ以前に」首脳会談を行う可能性があると述べている。
 トランプ大統領は記者団に対し、「北朝鮮と直接対話を開始した」と語っている。「われわれは北朝鮮との非常に高いレベルで直接対話を続けてきた」と、フロリダのリゾート、マール・ア・ラーゴでの安倍首相との会談後の記者会見でトランプ大統領は述べた。
 オスロで対北朝鮮会談を促進し、北朝鮮からの米国人オットー・ワームビア解放をもたらしたニューヨークのニュー・アメリカの取締役兼シニア・フェロー、スザンンヌ・ディマジオ(Suzanne DiMaggio)女史は、「これで、提案された首脳会談が実現する可能性がさらに高まった。トランプ政権は、歴史的な交流を準備するために真剣に取り組んでいることに安心している」と述べた。
 ポンペオの外訪は、トランプ大統領北朝鮮の核問題に関して数十年にわたる難局を打開する努力の一環として、金正恩と首脳会談を開催するという突然の決定後の、グローバルな外交攻勢の一環である。中央情報局(CIA)長官が北朝鮮に到着した僅か数日前に、金正恩は北京の訪問から帰国していた。この北京訪問は、金正恩の初めての外訪であった。
 米国科学者連盟の上級研究員であるアダム・マウント氏は、金氏との直接の直接接触を「かなり劇的な発展」と呼んでいる。議論の内容耶蘇の他の詳細を決定するために「首脳会談が実現する前に、非常に高いレベルで協議が行われなければならないと、マウントは語っている。
 米国と北朝鮮は、トランプ・金正恩会談が行われる候補地について議論している。可能性がある場所としては、ジュネーブや、アジア・東南アジアのいくつかの場所が含まれていると、アメリカ政府高官は語っている。
 同氏は、米国が北京、平壌、ソウル、または文在寅韓国大統領が来週に金大統領と出会う韓国の休戦協定の場所である板門店を検討していないと述べた。
 文在寅との会談は、トランプとの首脳会談の地ならしになると期待されている。 韓国の文化日報紙は、まだ技術的に戦争が続いている両国間の軍事衝突を公式に終結させる計画を発表していると明らかにした。
 また、トランプ氏は、韓国に北朝鮮との和平交渉を勧めるように「祝福」を送った。金正恩との会談場所は5カ所が検討されていると述べた。 韓国は、1953年の停戦で武力紛争が終結したものの、北朝鮮との戦争は正式に終了していない。
 ホワイトハウスのサラ・ハッカービーサンダーズ報道官は、「トランプは北朝鮮の指導者と直接話していない」と述べた。
 
[非常に古い戦争を終わらせる]
 トランプ大統領は、戦争を終結させる正式な平和条約の交渉だけでなく、今年の韓国の冬季オリンピックの成功も彼の関与によるものであったと示唆した。
彼等(南北朝鮮)は寛大だった。私たち(米朝)抜きで、特に私なしでは、(南北朝鮮は)何も話していないだろうし、オリンピックは失敗に終わっただろう。」とトランプ氏は語った。 「北朝鮮はオリンピックに参加していて、それは本当にオリンピックになった。これは、大成功だった。(米朝交渉がなければ)こうはならなかっただろう。」

 安倍首相は、「トランプ大統領の揺るがない決意と確信」が北朝鮮との交渉を可能にしたと述べ、トランプ大統領のリーダーシップを称賛した。彼は、トランプ氏が北朝鮮に拉致された日本人の問題を「日本の優先課題」として提起することを期待していると述べ、トランプ氏はその通りにすると述べた。
拉致被害者の問題を提起する。私たちはそれ以外の問題も提起する。」とトランプ大統領は述べた。「それ(拉致被害者の問題)はあなた(安倍首相)にとって非常に大きな要因であることを私は了解している」
 トランプ氏は、6月初めに、あるいは事態がうまく推移すれば、それ以前に、金正恩と会談する予定だと話した。「そうならなければ、北朝鮮首脳との首脳会談はなくなるかもしれない」と付け加えた。
 「事態がうまく進まないこともある。そうなれば、首脳会談はなしだ。その場合、我々が採用してきた強硬な姿勢を継続する」とトランプ大統領は述べた。」

CIA Chief Pompeo Met Kim to Lay Ground for Trump Summit - Bloomberg

 まだ先のことはわかりませんが、米朝首脳会談が開催される可能性はかなり高いといえます。それは、開催場所が「ジュネーブや、アジア・東南アジアのいくつかの場所」とされているためです。板門店であれば、金正恩がキャンセルできる場所ですが、それ以外の海外であれば、これはキャンセルができません。なにより筆頭にあげられているのがスイスのジュネーブであることには、改めて注目する必要があるでしょう。

 またトランプ大統領は,今年1月のスイス・ダボスでの世界経済フォーラム年次総会に出席しています。環太平洋経済連携協定(TPP)については、「全参加国の利益になるのであれば個別もしくはグループでも」交渉を検討するとトランプ大統領が述べたのも,このダボス会議においてでした。
 これらの流れを見れば、北朝鮮の資源開発が俎上に上がってきたようにも見えます。当然米朝国交回復も射程に入っています。北朝鮮と韓国の交渉が急ピッチで進んでいるのも、この流れの一環と見ることができます。
 最近のポンペオ次期国務長官も、北朝鮮の体制変革は望んでいないと述べています。となると,連邦制による統一朝鮮の樹立が予想されます。それと同時に、在韓米軍も全面撤退はないにしても、大幅に縮小されることになります。
 アメリカが朝鮮半島から撤退するならば、文字通り対馬海峡が、統一朝鮮・中国と対峙する最前線になります。これは日本に取っては極めて厳しい状況です。安倍首相にしてみれば、おそらくは今回の訪米で初めて聞かされる話でしょうから、ショックは大きかったのではないでしょうか。
 ただトランプ大統領も述べているように、まだ米朝首脳会談が実施されるかどうかは未定です。その場合は、中止が発表された直後から、再び軍事的緊張が高まることになるでしょう。
 トランプ大統領の立場から見れば、東アジアの安定をしばらくの間維持できれば、中東での対イラン戦に向けて準備できるという計算もあるはずです。今後はシリア情勢を中心にして、中東での緊張が高まることになるでしょう。