インドを訪問したネタニヤフ首相の苦境
今回、イスラエルのネタニヤフ首相がインドを訪問しました。インドではネタニヤフ首相を大歓迎しています。
ここで国際関係を整理しておくと、イスラエルとイランは強い敵対関係にあります。また、現在のイスラエルはトランプ大統領のアメリカと強い協力関係にあります。そして、インドは中国と強い敵対関係にあります。ついでに言えば、ロシアはイランを背後から支持しています。ですから、インドとイスラエルが関係強化に動くのは当然の流れと言えるでしょう。
しかし、その一方で、イスラエルのネタニヤフ首相が苦境に陥っています。
「ネタニヤフ首相は、この15年でインドを始めて訪問するイスラエル首相となった。しかし、ネタニヤフの政治的立場はこの30年にわたる政治キャリアの上で最も脆弱になっている。
インドのモディ首相のネタニヤフ首相に対する大歓迎からは、このことをよみとることはできない。しかし、テルアビブのオブザーバーは今回のインド訪問の成果を綿密にチェックしている。
この数日前、イスラエル首相は、息子のヤイル・ネタニヤフの発言がラジオで暴露された。ヤイルはガス界の大物であるコービー・マイモンのために父親が200億ドルの天然ガス取引を推進したと述べているのである。
ネタニヤフ首相は、その他の件で犯罪捜査を受けている。その中には贈収賄、詐欺、背信などが含まれている。
ネタニヤフ首相は、全ての悪行を否定している。声明の中で、息子のヤイルは冗談を述べているだけだとしている。ネタニヤフ首相はガス協定を締結したが、それはコービー・マイオンが所有するタマールガス田と競争を促進するためであったとしている。
首相にとって同様に厄介なのは、彼の息子がストリップクラブで女性と話しているところが録音されているということだ。ヤイルは、「自分が誰かは明らかにしていない」と述べ、酔っ払っていたと弁解している。
こうした厄介な時期に、ネタニヤフ首相は6日間にわたるインド訪問に乗り出した。すでに、議会ではぎりぎりの数で与党を維持しており、彼に関する論争は広がっている。そのために、今回のインド訪問の成果が、ネタニヤフ首相の指導力のバロメーターとなることであろう。
今回の訪問を前にして、インドは、ラファエル・アドバンスト・ディフェンス・システム社と5億ドルに相当する800基の対戦車誘導ミサイル購入契約を締結している。」
どこの国にも政治家の困った息子というのはいるものですが、ネタニヤフ首相も例外ではなかったようです。ただ、先に述べたように、対中、対ロシア包囲網の隠れた枢軸の一カ国であるイスラエルの内政の混乱も、今後どのような影響を与えるかはわかりません。その点は要チェックでしょう。