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トランプ政権における「バンド・オブ・ブラザーズ(兵士の絆)」(追記あり)

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 軍隊のような上司の命令が絶対というような企業で、無責任な上司からいじめを受けている同僚を見たとき我々はどうすれば良いのでしょうか。上司の命令は絶対ですから、自分の職務には忠実に務めなければなりません。しかし、かわいそうな同僚を放置することも出来ない。これがホワイトハウス内部で現在生じているドラマです。マティス国防長官にせよ、ジョン・ケリー大統領首席補佐官にせよ、マクマスター安全保障担当補佐官にせよ、みな海兵隊出身というのは注目すべき点です。

 

 トランプ大統領との関係がぎくしゃくしている最中にあって、安全保障の専門家や同盟国からは、ティラーソン国務長官の役割は高く評価されています。そして、ティラーソン国務長官マティス国防長官、それに首席補佐官のジョン・ケリーの結束が指摘されています。
 ティラーソン国務長官は、先週、自分自身とトランプ大統領の間の緊張関係に関してわざわざ記者会見を開きました。ラスベガスの銃乱射事件のお見舞いのためにトランプ大統領に同行する予定であったジョン・ケリー首席補佐官は、急遽、マティス国防長官、ティラーソン国防長官と事後策を協議するためにホワイトハウスに留まりました
 上院外交委員会議長のボブ・コーカーは、トランプ政権の高官がティラーソンを支持していないという話を暴露していましたが、同時に、国務長官マティス、それにケリーが「国が混沌に陥らないように防いでいる」と語っています。
 「私は見たんだ。私は何が起こっているのかを目にした。私は政権の全ての閣僚と議論をした。ティラーソンは、私の目から見れば、信じられないほど苦しい立場にある」とコーカーは述べています。国務長官ならば当然期待出来るような方法で、ティラーソンは支援を受けていないのだ」
 政権内部では、官僚が問題の解決を図っているだけで、トランプと目配せをしているものもいるとのことです。
 実際、トランプ大統領の主張とティラーソン国務長官の主張は、カタール北朝鮮、イラン、ロシア、パリ議定書の問題などで、何度も衝突してきました。
 最近では、トランプ大統領は、北朝鮮との交渉を「時間を浪費している」と批判しています。
 ティラーソンは、中国にいるときに、中国の指導部を動かして北朝鮮制裁を強化しようと働きかけました。そして、記者には「これが関与政策のプロセスになるだろう」と述べました。
 トランプ大統領は、土曜日に「歴代の大統領と政府は25年にもわたり北朝鮮と対話を行ってきた。合意がなされ、莫大な金額が支払われた。しかし、それは機能しなかった。合意のインクが乾く前に、合意が破られ、アメリカの交渉担当は馬鹿にされた。そうだな。一つの方法しかうまくいかない」とツイートしています。
 その一方で、マティス国防長官と言えば、トランプ大統領が不和の原因になる発言をした場合にはマティス国防長官や他の安全保障の指導者達は辞任するべきだという批判に対して、国家に対する奉仕を指摘しています。
 「ご存知だろうが、米国の大統領が何かをするように指示を出した場合、私は従う。これは古びた考えなどでは決してない。古びたとはまったくかんがえていない。」マティス長官は9月末に記者に語っています。
 また、マティスは、「この政権の波乱に満ちた最初の年度が平常に復帰したとみえるまで、一線を維持する」とも語っています。
 そして、ティラーソンとの関係で言えば、政権内のある官僚がCNNに対して、マティスは前エクソンCEOを指導(mentor)し、彼に「才能はあるが、政治的技量に欠けた同僚として敬意を払っている」と述べています。

Trump's 'Band of Brothers' stirs interest | TheHill


 前回のエントリーでも指摘しましたが、あくまで上司の命令は絶対というスタンスは崩さず、苦しんでいる同僚には陰でだまって手をさしのべるのがマティスなのでしょう。
 国のために奉仕するだけでなく、苦しんでいる同僚も見捨てないというのが、海兵隊で築き上げた「兵士の絆」というものなのでしょう。

ティラーソン辞任に関してはこちらもご覧ください。

 

 

(追記)

 ティラーソン国務長官は、マティス国防長官、それにムニューシン財務長官と「自殺協定(日本語では血判状か?)」を結んだという報道も有ります。これは、もし、このうち誰か一人がトランプ大統領の批判の対象になれば、3人そろって辞任するというものです。

 したがって、ティラーソン罷免、もしくは辞任になれば、トランプ大統領は、大変困ることになるでしょう。

 

www.washingtonexaminer.com