「(北朝鮮には)知らない武器があるかも知れないよ」とプーチンの警告
トランプ大統領の恫喝が、どこか不動産屋のセールストーク、あるいは、プロレスの煽りトークと似ているのに対し、プーチンの恫喝は、極道のそれですね。表面上は穏やかなのですが、凄みを感じさせるところがさすがです。今回は、北朝鮮問題に関して、プーチンがアメリカに“親切に”忠告しています。
「ロシアのプーチン大統領は、核能力を除去することを目的とした北朝鮮に対する先制攻撃の有効性に疑問を投げかけています。孤立した国ならば未知の武器を持っているかも知れないよというのです。
“「それ(北朝鮮の核)を取り除くために、北朝鮮に対する全面攻勢を開始できるだろうか。それは可能だ。それでは、その目的は達せられるだろうか。それはわからない。北朝鮮がどこに何を持っているかは誰にもわからないのだから。100%誰も知らない。閉鎖された国家だからね」と、モスクワのエネルギーフォーラムで、プーチン大統領は発言しています。
プーチン大統領は、また、トランプ大統領の北朝鮮へのアプローチにも反対しています。外交と冷静さを維持し、北朝鮮に対する最近の制裁を停止するように呼びかけています。
トランプ大統領は、北朝鮮と金正恩を繰り返し嘲笑し、北朝鮮の脅威に対して軍事力はいつでも実行可能であるという立場を繰り返し公言しています。国連総会での演説では、米国や同盟国を脅かすならば、米国は「北朝鮮を完全に破壊するしかないだろう」と述べました。
先週、トランプ大統領は、北朝鮮のビジネスパートナを標的にした制裁措置を命じました。それにもかかわらず、米国の当局者は、北朝鮮の弾道と核実験をめぐって神経質になっており、上院議員たちがトランプを迂回し、さらなる制裁を通過する方法を検討しています。プーチン大統領のコメントは、こうした状況下で現れたのです。
しかし、プーチン大統領は、トランプがこの問題に関するロシアの立場を耳にしているとも語っています。プーチン大統領は以前、米国と北朝鮮の間の「好戦的でと攻撃的なレトリック」の終結を求めていました。そして、北朝鮮の状況が「大規模な紛争の瀬戸際でにある」と語っていました。」
Putin: Success of military strike on North Korea not guaranteed | TheHill
こうしてみると、プーチン大統領の発言の真意は、攻撃に傾きかけている議会の主戦派にむけて、あらためて「大丈夫か」と突き返しているようにも見えます。もはや、トランプ大統領の意向は問題なのではなく、アメリカという国家の総意が問われていると言っても良いでしょう。ですから、すぐにと言うことはありませんが、このままの状態が続けば、いずれ第二次朝鮮戦争が勃発することになるのです。
10圧10日に関しては、米国側の先制攻撃の可能性は低いと考えています。むしろ、プーチンであれば、金正恩に対しても同様の警告を行っていると見るべきでしょう。
そこに、先ほどのイランの譲歩に向けた動きを重ねれば、プーチンが、イランと北朝鮮を抑止しているという構図も浮かびます。やはり、プーチンはさすがと言わざるを得ません。
ただ、少し付け加えるならば、北朝鮮の出稼ぎ労働者を擁護している発言です。極東からロシア人の人口が減少する一方で、中国人の人口はもうすぐ減少に転じるとは言え、大きな脅威です。下手をすれば、極東を丸ごと中国に押さえられる可能性もあります。日本とロシアが手を結べるとすれば、中国の脅威への対抗という側面なのです。