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王岐山、中国外交のトップに

第十局「スピニングドラゴン」

第十局「スピニングドラゴン」

 永世名人ならぬ永世主席の地位を固めた習近平ですが、今度は腹心中の腹心である王岐山に外交、特に対米外交を任せるようです。

 産経新聞からです。

「中国には外務省、党の中央対外連絡部のほか、全人代、軍にも外交の窓口があり、横の連携が弱く、情報も共有されず、対北朝鮮問題でしばしば対立することもある。王氏は今後、複数の部門を束ねて統括する。王氏の強みは習氏に直接、電話で意見を言えることと、自らの影響力を使い外交のために党と政府の他部署を動かせることである。

 これまで外交を統括するのが首相の仕事だったが、李克強首相と習氏の関係が悪化していることもあって、習氏は李氏の権限を縮小させ、今は外交に口を出させないようにしている。李氏は近年、外国の要人と会うこともあるが、経済問題でのやりとりが中心で、政治や安全保障などの分野にほとんど言及しない。王氏の登場で、ここ数年中国で続いた外交の要の不在がようやく終了する。

 王氏の当面のテーマは対米外交だトランプ大統領が為替、貿易問題で厳しい対中政策をみせるなか、これ以上の措置をとらないよう米国を説得することが最大の課題だ。王氏は昨年秋の党大会前から、トランプ政権の対中政策を研究し始めたといい、辞任したばかりのバノン元首席戦略官兼大統領上級顧問と北京で会談したのも、トランプ氏の本当の考え方を探るためだったという。王氏は副首相時代、対米交渉を担当したことがあり、米通商代表を務めた共和党のゼーリック氏ら多くの友人もいる。夏に訪米するとの情報もある。」

【中国全人代】歴史認識で日本に“強敵” 中国国家副主席に選出された王岐山氏(2/3ページ) - 産経ニュース

 しかし、習近平にとって最後の切り札である王岐山に対米外交ができるとも思えないのです。その理由は、中国製品に対する関税の導入、台湾防衛の本格化、そして今回の台湾旅行法の決定です。台湾旅行法とは次のようなものです。

「米ホワイトハウスによるとトランプ大統領は16日、米国と台湾の閣僚や政府高官の相互訪問の活発化を目的とした超党派の「台湾旅行法案」に署名し、同法は成立した。

 同法は、閣僚級の安全保障関連の高官や将官、行政機関職員など全ての地位の米政府当局者が台湾に渡航し、台湾側の同等の役職の者と会談することや、台湾高官が米国に入国し、国防総省国務省を含む当局者と会談することを認めることを定めている。

 また、台湾の実質的な在米大使館である台北経済文化代表処などの台湾の組織や団体に米国内での経済活動を奨励する条項も盛り込まれている。

 米国は1979年の米台断交と台湾関係法の成立後、米台高官の相互訪問を自主的に制限してきた。台湾旅行法の成立で、トランプ大統領の訪台や蔡英文総統のワシントン訪問が理屈の上では可能になる

 法案は1月9日に下院を通過し、2月28日に上院で全会一致で可決された。今月16日がトランプ氏が法案に署名するかどうかを決める期限となっていた。

 米国務省は、台湾旅行法が米台関係の変化を意味するものではないと説明しているが、台湾を不可分の領土とみなす中国が米台の接近に危機感を抱き、「一つの中国」原則に反するとの理由で猛反発してくるのは確実だ。」

【トランプ政権】米で「台湾旅行法」成立、政府高官らの相互訪問に道 中国の反発必至 - 産経ニュース

 今後生じるであろう米中の軍事衝突のきっかけは、アメリカによる台湾の国家承認になります。今回の台湾旅行法は、そのための一つの布石と見ることができます。アメリカが、台湾を独立国として認めると宣言すれば、自動的に米中間は戦争モードに突入します。アメリカは、中国の経済的成長をもう望んでいません。西太平洋やインド洋にまで野心を見せ始めた中国を牽制しなければと考えています。

 こうした現状に対して、王岐山がどれだけ対応出来るのか、国内の腐敗撲滅とは異なり、多大な困難が予想されます。