今回取り上げるのは
産経新聞の記事です。
「2017.9.10 00:50
「
米朝軍事衝突なら
朝鮮半島はほぼ壊滅する!」 元在韓米軍大尉が分析 ソウルは灰燼に帰す 日本にミサイル飛来も
【ワシントン=黒瀬悦成】
北朝鮮と米国との緊張が臨界点に達し、軍事衝突が起きたとき、何が起きるのか。在韓米軍で対
北朝鮮軍事演習のシナリオ策定に携わったチェタン・ペダッダ退役陸軍大尉は米外交専門誌「フォーリン・ポリシー」(電子版)への寄稿で、「
北朝鮮は間違いなく敗北するが、
朝鮮半島の大半が壊滅する」と警告する。
寄稿で描かれた想定では
金正恩体制は国際社会の制裁で危機に陥り、体制の維持が困難になったと判断した場合、「韓国への奇襲攻撃」で活路を見いだそうとする。ただ、
北朝鮮軍は弾薬や食糧不足などから戦闘能力は「数日間」しか持続せず、一気に決着をつけようと、最初の数時間で南北非武装地帯周辺や在韓米軍駐屯地、日本の海空防衛施設にミサイルで集中攻撃をかけてくるとみられる。
北朝鮮は約2500~3千立方トンの
サリンやVXガスなどの
化学兵器、炭(たん)疽(そ)菌などの
生物兵器を
保有し、これらをミサイルに搭載して米韓の空軍基地や補給ルートに撃ち込み、米韓の作戦遂行や兵力の移動能力の減衰を図る可能性が高い。
同時に
北朝鮮のサイバー部隊121局が米韓の銀行や韓国の送電施設に
サイバー攻撃を展開。停電や通信遮断による社会混乱への対処で米韓軍や警察が人員を割かれる状況となる。
北朝鮮による攻撃開始から数時間で死者は数万人に達し、ソウルの大半が灰燼(かいじん)に帰する。数百万人が国内避難民と化すとみられる。
在韓米軍は初日で数百人~数千人が犠牲になるが反撃。米軍は日本や豪州、米本土から増援部隊を数日以内に送り込む一方、航空機や
巡航ミサイルで非武装地帯周辺の砲兵部隊や
北朝鮮全土の
空海軍基地を攻撃。数時間後、
北朝鮮の陸海空軍は事実上壊滅する。(以下略)」
しかし、
北朝鮮もただでは消滅しません。沖合の潜水艦から特殊部隊を韓国沿岸に上陸、地下トンネルを通じた部隊の韓国領内への侵入、さらには、韓国政府要人暗殺や
サボタージュなどのゲリラ戦術も予想されています。
何よりも重要なのは、これは
北朝鮮が
核兵器使用に踏み切らない場合のシナリオであるという点です。日本や米西海岸に核弾頭搭載の弾道ミサイルを撃ち込んだ場合、被害は桁違いに増大するとみられています。
といっても、はっきり言ってフォーリン・ポリシーですからね(爆)。飛ばしが多いという実感があります。ただ、今回の
北朝鮮との戦争に関しては、ほぼ正確な評価といえるのではないでしょうか。
しかし、あえて反論するならば、このシミュレーションの前提こそ疑うべきだと思うのです。そもそも、
北朝鮮の核はどこを向いているのでしょうか。これまではアメリカや日本、そして当然韓国と考えられてきました。
北朝鮮の核は北京を狙っているという可能性も、当然考慮するべきなのです。そして、
習近平による彼個人による個人
独裁制の確立の過程で、徹底的に犠牲になっているのが
江沢民派です。さらには、独立性の高い旧
瀋陽軍区の問題など、中朝間の不確定性を物語るエピソードには事欠きません。
米朝間の軍事紛争が始まる前に、中朝間で紛争が勃発すれば、全く予想ができない展開に突入します。ですから、今から、様々な可能性を検討しておくべきなのです。