ドイツがウクライナに武器を売らない
いよいよウクライナではロシアとの戦争が始まろうとしています。しかし、ウクライナの防衛を邪魔しようとしている国があります。それがドイツなのです。
「 ウクライナの新しい国防相は、米国がロシアによるウクライナ侵攻の可能性を警告しているにもかかわらず、ドイツが北大西洋条約機構(NATO)からの武器の供給を止めていると非難した。
レズニコフ国防相は、ウクライナが先月NATO支援調達庁を通じてドローン迎撃用ライフルや対狙撃兵システムを購入しようとした際、ドイツが拒否権を発動したとフィナンシャル・タイムズ(FT)に明かした。だがドイツはその後、ライフルについては非致死性の装備だとして態度を軟化させた。
「彼らはパイプライン『ノルドストリーム2』の建設を続ける一方で我々の防衛装備調達を阻止している。極めて不公平だ」と同氏は述べた。ロシア産天然ガスをバルト海経由でドイツに送るノルドストリーム2はウクライナ領内を通る既存のパイプラインを迂回する。
ウクライナはロシアとの軍事力の差を埋めようとしているが、同盟国は武器の供給がプーチン・ロシア大統領に挑発行為と受け取られたり、緊張を高める口実として使われたりすることを懸念している。ウクライナは対ミサイル・対空システムをはじめ、電子戦装備やサイバー防衛装備を緊急に必要としている。
ドイツはメルケル前政権が致死性装備の調達を阻止したため、ウクライナは米英、リトアニアやフランスなどの友好国と二国間契約で武器を調達するだろうとレズニコフ氏は述べた。
ショルツ首相率いるドイツ新連立政権の立場は今のところ不明だ。武器輸出の可否を決定する経済省は12日、この件についてコメントしなかった。首相府も同様だった。
新政権で経済相に就任した緑の党の共同党首ロベルト・ハベック氏は、今年5月にウクライナからの防衛装備の要求は「否定しづらい」と語っている。
レズニコフ氏は米国など欧米の支援国の国防相と会談しており、ミサイルなどの防衛装備の入手について「非常に楽観的な気分」でいると述べた。
だがロシアの全面的な侵攻を阻止できるだけの装備を早急に調達できるかについては明言を避けた。バイデン米大統領をはじめ欧米の指導者はロシアにこれ以上の攻撃を思いとどまらせるため、経済制裁を発動すると警告している。
英中部リバプールでの主要7カ国(G7)外相会合終了後の12日に発表された声明は、ロシアに「緊張を緩和し、外交ルートでの解決を追求し、国際社会との約束を順守」するよう求めた。また声明は「ロシアはウクライナへの更なる軍事攻撃には大きな代償と重大なコストが伴うと理解すべきだ」と警告した。
レズニコフ氏は、欧米諸国が強い立場からプーチン氏と対決するのを恐れているのは間違っていると語った。
「ロシアを挑発しない戦略は現在も今後も機能しない」と述べ、独仏が2008年にジョージア(グルジア)が将来NATO加盟国となる道を開くことに反対した後、ロシアが同国に侵攻したと指摘した。
米国がロシアの侵攻について警告を強めているが、レズニコフ氏は他のウクライナ政府高官と同様に脅威が目の前に迫っているとはみていない。
ウクライナの推定ではロシアは両国国境沿いに約10万人の部隊を展開しているが、この数は21年春や夏にロシアが同地域に派遣した兵力と同水準だ。また米国の分析では、ロシア軍は最大17万5000人が滞在できるキャンプを建設中だが、テントの多くは無人のようだとレズニコフ氏は述べた。
だが同氏は、戦争になれば数百万人のウクライナ市民が欧州連合(EU)域内に避難する可能性があり、ウクライナからの穀物輸出が止まるなど欧州にとって大きな災いになると警告した。
「多くの兵士が棺に入ってロシアに帰ることになるだろう」と同氏は述べ、軍事侵攻は「現在の世界の終わり」を告げて国際ルールが存在しない「新時代」の幕開けとなると語った。
レズニコフ氏は弁護士出身で、被占領地再統合相を務めた後、先月国防相に任命された。同氏は、米国からウクライナの将来的なNATO加盟が遅れたり除外されると示唆されていないと述べた。バイデン米大統領とプーチン大統領は先週、ウクライナのNATO加盟にロシアが反対している件について引き続き話し合うことで合意している。
ロシアはウクライナのNATO加盟を「越えてはならない一線」と考えているが、これは少しずつ相手側の権益を切り崩す「サラミ戦術」の一環だとレズニコフ氏は指摘した。「米国はこれらの脅威を理解していると思う。加盟国を一つにまとめなければならない」
また同氏は、ロシアとの和平交渉を始めるために親ロシア派が占領するドンバス地方に特別な地位の付与、または自治権の拡大を認めるよう米国から圧力を受けてはいないと述べた。」
[FT]「武器調達をドイツが阻止」 ウクライナ国防相発言 : 日本経済新聞
一般的なイメージとは事なり、ウクライナの自信に満ちた対応が印象的です。おそらく、今回ロシアがウクライナを侵略すれば、ロシア軍に相当の被害が生まれるのでしょう。クリミア半島のようには行かなないという事です。