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EU復興基金の頓挫により下落するユーロ

問題は英国ではない、EUなのだ 21世紀の新・国家論 (文春新書)

コロナのもたらしたのは、いろいろな意味での秩序の崩壊なのでしょう。この大崩壊の時代に何が生き残るのか、気になるところです。

 今回のコロナ騒動で崩れそうなのがEU内部での結束でしょう。南部の被害の大きかった国は「ひたすら金をくれ」ということになりますし、北欧などの財政支出に否定的な国家群は「出来るだけ払いたくはない」ということで意見が完全に割れてしまっています。19日には合意が形成出来るという話でしたが、そんなことはとんでもありませんでした。

「 17日開幕した欧州連合EU)の首脳会議は18日、日程を延長して19日も協議することを決めた。新型コロナウイルスで打撃を受けた経済復興のための復興基金案を巡って、被害を受けた南欧と財政規律派の意見がまとまらないためだ。ミシェルEU大統領が19日に新たな提案を示し、同日中の合意をめざす。
 新型コロナの感染拡大後、初めて対面形式で開かれた首脳会議の目的は、7500億ユーロ規模の復興基金案と、それを含む2021~27年のEU中期予算案で合意することだ。だが復興基金案を巡る対立は依然として解消のメドがたっていない。
 復興基金は新型コロナで被害の大きいイタリアやスペインといった南欧などを支援するのが目的だ。環境やデジタルなど有望分野に投資して、景気回復につなげる。基金の原資はEU欧州委員会が債券を発行して、全額を市場から調達する
 大きな対立点は返済不要の補助金と返済が必要な融資の比率だ。EUは当初、補助金5千億ユーロ、融資2500億ユーロの案を示した。南欧などは歓迎したが、財政規律を重視する倹約4カ国(オランダ、オーストリアデンマークスウェーデン)は反対。財政面に豊かな同グループへの負担が大きく、融資を主体にすべきだと主張した。
 EU外交筋によると、ミシェル氏は首脳会議で補助金4500億ユーロ、融資3千億ユーロの新提案を示し、倹約4カ国に配慮した。だが倹約4カ国は比率をさらに変えるよう迫っているようだ。EU案を後押ししている仏独は「(補助金が)4千億ユーロを下回るのは望んでいない」といい、規模を巡る攻防が続いている
 ほかにも、オランダを中心に、供与される資金が適切に使われているか監視する仕組みの導入を求めている。ハンガリーポーランドなど強権政治が目立つ東欧諸国を念頭に、「法の支配」が守られているかどうかを資金供与の条件にするよう訴える意見もある。
 協議はミシェル氏に加え、EU議長国のメルケル独首相、マクロン仏大統領らが主導して進めている。
 倹約4カ国からは「正しい方向に向かっている」(オーストリアのクルツ首相)との声も出ているが、イタリアのコンテ首相は18日、フェイスブックに「我々は行き詰まっている。事態は思っていたよりも複雑だ」と書き込んだ。今回の首脳会議で合意できるかはなお見通せず、7月に再び首脳会議を開くとの観測もある。」

新型コロナ:EU首脳会議、延長へ 復興基金案巡り溝埋まらず (写真=ロイター) :日本経済新聞

 本来であれば、メルケル首相の花道となった案件ですが、金のことなのでどの国もシビアなようです。明らかなのは、これで上昇し続けていたユーロも若干下がるだろうと言うことです。