ワクチンは間に合うのか?あるいは二番底の可能性
現在のマーケットは、「新型コロナウィルスには有効なワクチンが出来る」という仮定に基づいて動いているように思われます。しかし、この仮定は果たして正しいのでしょうか。
ワクチン完成に関しては、アメリカは相当自信を持っています。
「米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は15日、米国は年末までに新型コロナウイルスワクチンを開発する目標を達成できるとし、中国に先を越される可能性があるとの観測には動じない姿勢を示した。
新型ウイルスワクチンを巡っては、米バイオ医薬大手モデルナが開発中のワクチンについて、米国の研究者チームが14日、初期段階の研究で安全性が示されたほか、健康なボランティア45人全員に免疫反応が見られたとする報告書を公表。モデルナは同ワクチンの後期治験を27日に開始する。
ファウチ氏はロイターのインタビューに対し、モデルナが開発中のワクチンは自然感染に似た免疫効果が得られるようにみえるため、特に有望視されていると述べた。」
「年内の米国産コロナワクチン開発に自信」米国立アレルギー感染症研究所ファウチ所長インタビュー | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
しかし、ロイターでは、免疫が消滅することが報じられています。
「 新型コロナウイルス感染者の免疫が、短期間で失われる可能性を示す証拠が出てきた。今後の感染拡大局面で人々をウイルスから完全に守ることができるワクチンの開発を進める製薬会社などにとって、ハードルが一段と上がってしまった形だ。複数の専門家は14日、こうした見方を示した。
中国やドイツ、英国など各地で行われた暫定的な研究結果からは、新型コロナに感染した人には抗体が作られるものの、わずか数カ月で消滅する様子が見受けられる。
ロンドンにあるインペリアル・カレッジのダニエル・アルトマン教授(免疫学)は「大半の感染者には(抗体が)できる。だがしばしばそれらは急速に消えてしまいかねない。つまり免疫力がほとんどつかないことが示唆されている」と述べた。
これはワクチン候補の開発者はもとより、将来のパンデミック(世界的な大流行)に備えた国民へのワクチン供給を目指している各国の公衆衛生当局にも重大な問題を投げ掛けている。
英リーズ大学のスティーブン・グリフィン准教授(医学)は「(パンデミック抑制で)1つのワクチンに依存し過ぎるのは賢明ではないという意味だ」と指摘。ワクチンに本当の効果を持たせるには「より強力化して免疫力を長引かせるか、定期的に接種する必要があるのではないか」と述べた上で、どちらも決して簡単ではないと警告した。
現在は世界中で100を超える研究チームや企業がワクチン開発を競っていて、少なくとも17件が臨床試験の段階に入っている。
アストラゼネカ(AZN.L)がワクチン候補「ADZ1222」を豚に投与した試験では、1回よりも2回使用した場合の方が抗体値は高まった。ただ今のところどの臨床試験でも、十分強力で持続的な免疫力を証明するデータは見つかっていない。」
焦点:新型コロナの免疫「消滅」、ワクチン開発ハードル上がる - ロイター
したがって、新型コロナのワクチンは完成が不可能とは言わないまでも、年末に出来るという感じではなくなってきました。スペイン風邪の経験からしても、第二波は死亡率が高まると考えられているので、今のように致死率が低い段階で患者数だけに注目しているのはあまり健全とは言えませんね。
むしろ、何度もお伝えしてきたように、日本でなぜ被害が少ないのか、例えばベトナムでなぜ死亡者が出ないのかと言う観点から、何らかの生活習慣に原因があると仮定してそれを探る方が、ワクチン対策よりも有効であろうという気がします。その意味で我が国の新型コロナ対策は遅れています。
ワクチンが不可能という暫定的な結論が出れば、マーケット的にも大きな下げが見られるのではないでしょうか。これが二番底になるだろう。