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シビアな台湾の現状認識

BRUTUS特別編集 増補版  台湾

コロナのお陰で台湾にもろくに行けませんね。残念です。しかし、台湾と言えば、今回のコロナ騒動では世界トップクラスの対応を見せたことが知られています。その背後には「国がいつつぶれるかわからない」と言う緊張感があるのでしょう。

 「 中国の台湾への好戦的な態度が強まっていることから、もし台湾が攻撃された場合、アメリカが本当に台湾を助けに来るのかどうかについて疑問が生じている
最新の事件では、東京の防衛省によると、2機のPLA西安H-6爆撃機が、東シナ海から沖縄と宮古島の間の宮古海峡を通過した後、日曜日に東から台湾の防空識別圏に簡単に接近した。
 これは、PLAの戦闘機による先月と今年16回目の10回目の侵攻であり、オブザーバーによると、これは将来の攻撃のための練習と、島を支援することに対する米国への警告の両方を目的としているという。
 最近のPLAの侵攻に対応して、米国はまた、偵察機を中心に、月曜日に6機を含む台湾の空域を通過する軍用機を大量に送ってきた。
北京大学シンクタンクであるSCS検証イニシアチブは、米国の作戦は、おそらくバシー海峡南シナ海での中国の軍事活動を監視するために意図されていると述べた。
 台湾の国防省は、台湾周辺の空と海の動きを完全にコントロールしていると強調し、国民に冷静さを保つよう求めているが、台湾国家安全保障会議の元事務総長である 蘇起氏は、現状を懸念していると述べている。
 "台湾と本土の軍事的な不均衡、両岸対話の欠如、米国と本土の間に[効率的な]コミュニケーションメカニズムが存在しないことを考えると、何が起きてもおかしくない状況であることを心配している」と、民間シンクタンク台北フォーラム」の代表を務める蘇氏は述べている。
 スー氏は、最近ジョシュ・ホーリー上院議員が提案した台湾国防法を特に懸念しているとし、米国が台湾を救済する可能性について、台湾当局に誤った希望を与えてしまう可能性があると述べた。
 北京は台湾を、必要であれば武力でなんとしても本土にとり戻されなければならない省だと考えている。
 北京は台湾との公式交流を停止し、台湾周辺での戦争ゲームを強化し、2016年に独立派の民進党蔡英文氏が総統に就任し、中国一国主義を拒否して以来、台湾の外交を持つ国7カ国から外交関係を奪ってきた。
 また、ドナルド・トランプ政権に対し、軍事交流を含む同島への武器供給や緊密なパートナーシップの構築に反対するよう繰り返し警告してきた。
ホーリー氏の提案する台湾防衛法は、1979年の台湾関係法に基づき、米国が台北との実質的な関係を維持するための義務を果たすことを求めるもので、ワシントンが正式な外交承認を北京に切り替えた後も、台北との実質的な関係を維持することを目的としている。
また、米国防総省は、人民解放軍の侵攻に対抗する能力を維持し、特に中国の「共犯」を防ぐために、その進捗状況を定期的に報告することを求めている。
しかし、台湾の両岸政策のトップ機関である大陸委員会の元部長である蘇氏は、蔡政権に対し、この文言に細心の注意を払うよう警告を発した。蘇氏は、「既成事実fait accompli」という言葉は、米国が台湾を助けられなくなった状況を意味していると述べた。
 同氏は、これには米国が対応する前に人民解放軍に乗っ取られることも含まれており、軍事的な対応を行うことはワシントンにとってあまりにも困難であり、コストもかかるだろうと述べた。
 彼はまた、海峡両岸の紛争が発生した場合に米国が救援に来ることを確信するのは「希望的観測」であると警告した
 野党の国民党のメンバーである蘇氏は、北京は蔡氏への対応をあきらめていると述べ、蔡氏の反本土政策が恨みを募らせていると指摘した。
彼はまた、両岸の対話がない場合、本土は "偶然の共犯 "をもたらすために紛争戦略に頼るかもしれないと警告した。
"蘇氏は、「現在の状況は、2000年から2016年の間に、[民進党の]陳水扁氏と[国民党の]馬英九氏が総統を務めていた時よりもはるかに暗い」と述べた。」

Taiwan warned against ‘wishful thinking’ that US will come to rescue if China attacks | South China Morning Post

まあ、これは国民党の人の話なので、「早く中国側に降参した方が良いのではないか」と言う本音はよく伝わってきます。しかし、注目すべきなのはむしろ「アメリカは助けに来ないかも知れない」というシビアな認識でしょう。非常にシビアですね。それでも独立を保つためにはどうすれば良いのかというのが、台湾にとっての重い課題なのでしょう。

 とはいえ、アメリカが完全な反中に転じた今となっては、アメリカが助けに来ないと言う可能性はかなり下がっているのではないでしょうか。今回の米中の紛争は、経済とくに半導体を巡る争いでもあります。優秀なファウンドリーのある台湾を何もせずに手放すことはほとんどあり得ないでしょう。