進む既存薬の治験
新型コロナウイルスのワクチンが完成するのはどうしても半年程度かかるでしょうが、それ以外にも、聞きそうな薬の治験が始まっています。興味深いのが、日本のカードの方が多いということです。
日経バイオテクによれば、
「新型コロナウイルス(2019-nCoV/SARS-CoV-2)による感染症(COVID-19)を対象とした治療薬の開発が本格化してきた。米国立衛生研究所(NIH)は2020年2月25日、COVID-19を対象に、抗ウイルス薬である「レムデシビル」の医師主導治験を始めたと発表した。同治験は、NIH傘下の米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)が主導し、米Nebraska大学と協力して実施する。また、同治験などを補完する目的で、開発元の米Gilead Sciences社が企業治験(第3相臨床試験)を開始。日本もこれらの治験に加わる方針だ。現在、COVID-19に効果があると正式に認められた治療薬は無い。治験の結果次第では、レムデシビルがCOVID-19に対する治療薬として、世界で初めて承認される見込みとなった。」
アメリカはレムデシビルを軸に治験を行うようです。
これに対し日本は
「 国内では国立国際医療研究センター(東京・新宿)を中心に、COVID-19の患者に対する「観察研究」が始まった。抗インフルエンザ薬の「アビガン」(ファビピラビル、富士フイルム富山化学)や、抗HIV薬の「カレトラ」(ロピナビル・リトナビル、米Abbvie社)、レムデシビルといった治療薬候補を、COVID-19の患者に投与する。
観察研究とは、「医療機関内の倫理委員会等の手続きを経て、患者の同意を得た上で、本来の適応とは異なる投与等を行った治療について、治療結果等を集積し、分析する一連の研究」(政府の公開資料)のこと。一般に、臨床研究法に基づく「臨床研究」や、医薬品医療機器等法に基づく「治験」と比較して、開始までのハードルが低いとみられ、「緊急時ということもあり、試験開始のスピードを重視するなどした結果、観察研究の枠組みで(治療薬候補の投与を)開始することになった」(厚生労働省健康局結核感染症課)ようだ。」
新型コロナ治療薬、レムデシビルの治験は「4月に結果が得られる」:日経バイオテクONLINE
アメリカも行うレムデシビル以外に、ファビピラビル、ロピナビル・リトナビルでも行うようです。純国産はアビガンのファビピラビルですが、いずれかの薬剤が有効であることが明らかになればよいと思います。こればかりは無責任に期待するしかありません。