予測を外すジム・ロジャーズ
現段階ではっきり言えるのは、ポジショントークでないとすれば、消えるのは日本ではなく、ジム・ロジャーズでしょう。
「 ロジャース氏はここで日本が50~100年後に消えると主張した。「日本の好景気はうわべだけ」「いつかきっと『安倍が日本をダメにした』と振り返る日が来るだろう」と言い切る。
反面、韓国は世界の中心となるアジアの中でも最も幸せな国になると予想した。ロジャース氏は文在寅(ムン・ジェイン)大統領を高く評価する。だが、文政府の所得主導・革新成長は具体的な実行方案がなく、効果が疑問という手厳しい指摘もする。ロジャース氏は「韓国にすべての財産をかけたい」と語る。その理由が知りたくて、最近訪韓したロジャースをロッテホテルでインタビューした。
--日本が50~100年以内に消えるという内容が書かれた今回の本に対する日本人の反応は?
「多くの日本人がうなずいた。彼らが関心を示した理由は、ついに誰かが彼らに真実を話したからだ。私は高等数学ではなく、足し算と引き算さえ分かれば理解できる明白なことを話した。日本の借金は増え人口は減っている。日本は災難に向かって走っている」
--50~100年という表現はメッセージ伝達のための修辞的道具ではないのか。
「私は本当に日本がそうなる可能性があると考える。早期内に誰かが借金を返し、子どもを産んで移民者を受け入れなければそうなる。意見ではなくファクトだ」
--著書の中で勤勉性や品質第一主義のような日本の立派な国民性に対しても言及している。いくら国民性が良くても国家の衰退を防ぐことはできないのか。
「日本の国民性はあきれるほどいい。おそらく世界最高だ。日本人は何でもうまくやる。勤勉だ。世界最高のイタリアンレストランも日本にある。だが人口が減って借金が増えれば世界最高の自動車を作っても効果がない。結局、車を作る人も買う人もいなくなる」
--では逆に、国民性が少し悪くても経済状況が良ければ浮上できるか。
「そのようなケースは珍しい。ばく大な量の石油や金を発見したとすればまた分からないだろうが。一生懸命に働いて一生懸命に貯蓄しなければならない。蓄積した資本を投資すれば経済が発展する。世界すべての経済学者がそう言う。これはカール・マルクスも認めた。経済を発展させるには資本がなければならない。ただしマルクスは『誰が資本を所有するべきか』に対して間違っただけだ」
--借金や出生率などで韓国は日本と同じような問題を抱えている。韓国が統一されない場合、少なくとも南北が平和体制に向かうことができないなら、韓国もまた日本と同じ運命を迎えるだろうか。
「韓国からは38度線が消えるだろう。そうなると韓国に新しいフロンティア(frontier)ができる。高等教育を受けた安い労働力があり、多くの資源がある北朝鮮というフロンティアが開かれる。統一韓国で旧北朝鮮地域の人々は子どももたくさん産むだろう。したがって韓国の人口減少問題も解決される。その上、北朝鮮は借金がない。誰が金一家にお金を貸すだろうか。経営能力と資本を備えた韓国に北朝鮮という新しいフロンティアが開かれるが、日本にはフロンティアがない。日本には安い労働力もない。日本はビジネスにお金がとても多くかかる国だ」
--韓国はまだすべての面で先進国でなく経済的な負担がある。
「韓国は世界10大経済強国だ。韓国はこれ以上貧しい国ではない。今は1959年ではなく2019年だ」
--韓国はいつどのように統一を成就するとみているか。とても楽観的にみているのではないか。
「日本は南北統一に反対する。だが、中国とロシアは賛成するだろうと考える。北朝鮮も韓国も統一に賛成する。それで統一は成り立つだろう。統一すれば南北が再び交易して人々が行き来するようになるだろう。韓国は統一の費用よりも大きな利益を享受することになるだろう」
--統一に関連して駐韓米軍に対するさまざまな見解がある。
「米軍は撤収を望まない。地図を見ると、韓半島(朝鮮半島)は米国が中国国境とロシア国境に軍を配置できる世界で唯一の場所だ。米国と中国、あるいはロシアの間に紛争が勃発すれば中国やロシアはまず韓国を侵攻するだろう」
--『世界で最も刺激的な国』には「もし私が日本の総理大臣なら」という項目がある。文大統領に対しては特別な言及がない。あなたが韓国大統領ならば何をするか。
「私だったら38度線をなくして人々が行き来できるようにするだろう。38度線でK-POPコンサートをするだろう。文大統領は規制を緩和しなければならない。私は世界各地に投資している。韓国は規制が最も厳しい国の一つだ。韓国に投資するのは信じ難いほど複雑だ。私が見るに文大統領は非常にスマートな人物だ。そのため私は文大統領が規制を緩和するだろうと考える」
--北朝鮮に莫大な地下資源があるという。もしそれなら統一費用負担を大幅減らすことができる。北朝鮮地下資源は過大評価されているのか、でなければ過小評価されているのか。
「過小評価されていると確信している。だが、現在としては『誰も分からない』が真正性のある答えだ。日帝強占期に日本人が行った北朝鮮資源調査以降、誰もちゃんとした調査をしていない。おそらく北朝鮮自身も知らないだろう」 (以下略)」
ジム・ロジャース氏「人口減って借金多い日本は衰退、南北融合時は新たなフロンティア生まれる」(1) | Joongang Ilbo | 中央日報
韓国経済の基本は対日対中関係にあります。この双方が良好であれば、韓国経済は発展しますが、関係が悪化すれば、経済が簡単に落ち込むのです。そうした基本も押せずに、北朝鮮を意識して対日関係を軽視したことが文在寅の経済政策の最大のあやまりだったのです。
この文在寅の誤りを笑えないのが、ジム・ロジャーズでしょう。安全保障を抜きにして国家の繁栄はありません。中国人民解放軍に蹂躙された後で、朝鮮半島は繁栄するというのでしょうか。それこそ、投資した資金は完全に蒸発してしまっていることでしょう。