いつまでたっても自分が嫌われる理由がわからないロシア
こんなことをするから、嫌われるということがプーチンにはまだわからないようです。
「ロシアの国営石油大手ロスネフチがサハリン沖の石油、天然ガスの開発事業「サハリン1」を巡って、権益を持つ日米などの企業を提訴した。隣接するロスネフチ管轄の油田との原油生産の帰属を巡って争いが生じた可能性がある。ロシアより多くの権益を持つ米石油メジャーへのけん制との見方もあり、対ロビジネスの難しさが改めて浮き彫りになった。
裁判所の資料によると、ロスネフチは2015年7月から18年5月にかけてサハリン1の参加企業が不当に得た資金の返還などを求めている。請求額はサハリン1の権益を持つ5社に対し、総額891億ルーブル(約1570億円)にのぼる。
ロスネフチは同社管轄の油田から隣接するサハリン1の鉱区に原油が流出し、サハリン1で採掘されたと訴えているもようだ。詳細は明らかになっていないが、ロシアのメディアでは「一般的には企業間の和解で決着する問題だ」とする専門家の指摘も目立つ。原油の分配や補償を巡り、ロスネフチはサハリン1に権益を持つ各社と協議を進めていたとされる。提訴は交渉を有利に進め、和解を引き出す狙いとも考えられる。
自らの子会社2社も含めて提訴に踏み切ったのは、コンソーシアム(共同事業体)を主導する米エクソンモービルへのけん制とみる向きも強い。
サハリン1はエクソンと日本の官民が出資するサハリン石油ガス開発(SODECO)がそれぞれ30%の権益を持つ。対してロスネフチの子会社を通じた持ち分は20%。ロシアでは異例の外国企業に主導を許す大型エネルギー事業になっている。
エクソンとロシアの間には溝も生じていた。17年末にはエクソンがロスネフチとの別の合弁事業から撤退すると決定。欧米による対ロ経済制裁で開始のメドが立たないとして合弁に見切りを付け、有望な米国でのシェールオイル・ガス事業への注力を強めた。サハリン1を巡りロシア政府との生産物分与契約(PSA)に基づく法人税率の引き下げをエクソンが国際仲裁裁判所に訴え、17年に和解した経緯もある。(以下略)」
ロスネフチの提訴、米石油メジャーけん制か (写真=ロイター) :日本経済新聞
一般的な商慣行というものが、中国も同様なのでしょうが、ロシアにおいては特に根付いていないことを物語るエピソードです。仮に原油の流出があったとしても、それは企業間の協議で解決可能な問題であるはずです。
しかし、もう一つ忘れてはならないのは、プーチンのトランプに対する牽制でもあるということです。米ロ首脳会談により、トランプ大統領の支持率は上昇しましたが、その反面、トランプ大統領に対する共和党内部からの反発も予想以上に激しいものになっています。アメリカがロシアとの友好を望まないなら・・・というプーチンの本音が透けて見えるような話です。
日ロ関係の文脈で言えば、こうした手のひらがえしは、何度も見られました。またか、というのが正直なところです。ロシアは信用できない、と日本人は考えておけば良いのではないでしょうか。