今始まる中国との経済戦争
今回のゲイリー・コーン辞任劇の背後で、発言権を拡大すると見られているのがピーター・ナバロです。
ナバロ本人はコーンの後釜に座ることを「そうあれば光栄だが、私は候補者リストに名前がない。これは明確にしたい」と述べて強く否定しています。
しかし、コーン国家経済会議(NEC)委員長の辞任が、主に中国を対照とした鉄鋼・アルミの関税の導入であったことと、ナバロが中国強硬派である点を考慮すれば、今回の辞任劇で発言権を拡大させることになるのは間違いないでしょう。
この点でロイターは次のように伝えています。
「ナバロ氏は北米自由貿易協定(NAFTA)や米韓自由貿易協定からの離脱を支持しているほか、世界貿易機関(WTO)は不公正な税制上の慣行を容認しているとみなしている。
また、中国と台湾は不可分とする米国政府の「一つの中国」政策に異議を唱えているほか、2016年の米大統領選でトランプ氏陣営のために現商務長官のウィルバー・ロス氏とともに執筆した経済論文の中で「中国の指導者は通商分野で不正を働くことで米国の弱みに付け込んでおり、トランプ氏の強さと意志の固さを認識し、重商主義的な行動を抑えることになるだろう」と指摘した。
ナバロ氏は68歳で、ハーバード大学の経済学博士号を持つ民主党員。「Death by China(原題)」など、中国の経済・軍事的な台頭の危険性に焦点を当てた著書で知られる。」
対中強硬派のナバロ氏、トランプ政権内で台頭 コーン氏辞任で | ロイター
つまり、中国との貿易戦争はまだ前菜に過ぎないと言うことです。台湾への言及も見られることから、今回の鉄鋼・アルミの関税化もその後の米中軍事衝突も見越したものとかんがえるべきでしょう。