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2019年のシリア情勢

シリア大統領 アサドの中東外交 1970-2000

 そろそろ来年のアジェンダを予想する季節です。そのための準備としてシリア問題を取りあげました。

 「 シリアのクルド人に指導された主要な民兵組織は、トルコの大統領がシリアでのアメリカに支援を受けたクルド人戦士に対して新たな軍事作戦を展開しており、クルド人らのイスラム国勢力に対する戦いにマイナスの影響を与えると警告した。
 シリア民主軍のスポークスマンであるヌリ・メムードは、「数日以内に」開始される新らたな作戦に関するエルドアン大統領の発言は、宣戦布告に等しいと述べた。
 メムードは、シリア民主軍の戦士が、シリアの最後のISIS拠点であるハジン(Hajin)地区深くに侵攻したと語った。彼はシリア北部と東部でのアメリカに支援された軍の存在があれば、トルコが、昨年シリア北部のアフリンに行ったような攻勢に出ることを抑止できるという希望を表明した。
 最近数ヶ月の間、トルコは、ユーフラテス川の東にあるシリアの国境を越えて、クルド人を攻撃し、人民保護部隊(YPG)と呼ばれるシリアのクルド人民兵組織を追放すると脅している

 YPGは、米国主導の連合国の助けを借りて、シリアの広い地域からISISを取り返したシリア民主軍の主要部隊である。アンカラは、YPG戦闘員をテロリストとみなしている。なぜなら、彼らは、トルコ国内のクルド人による騒動と関係があると主張しているためだ。米軍は、シリア北東部のクルド人戦闘機に配備されているが、それは、一部はトルコとの衝突を防ぐためである。
 トルコの国営通信社は、木曜日、トルコ軍の車列がシリアとの国境に到着したと報じた。アナドル通信社は、兵員輸送車を含む護送隊は、予備部隊としてハタイ県に配備されたと語った。同機関は今週早く同様の兵士の動きを報告している。
 一方、YPGの戦闘員たちは、木曜日に、シリアのハジンに侵入し、過激派の最後の拠点となっていた市場を奪取した。
 シリアのクルド人の戦闘員は、9月10日以来、シリアのデリ・エル・ゾール州でハジンと近隣の村を奪取するために戦っている。過去数週間、シリア北部からの援軍の到着で攻撃が激化した。
 英国に本拠地を置くシリア人権監視機関は、ハジンでのISISの防衛は崩壊し、市場が奪還されたと語っている。人権監視機関は、シリア防衛軍(SDF)の戦士たちも、ISIS支配地域から600人の一般市民(その多くが女性と子供)を避難させることができたと述べた。
 活動家が運営するデリ・エリ・ゾール24の監視団体であるヨーロッパに本拠を置いているOmar Abu Laylaは、ハジンの市場が主要なモスクとともに奪還されたことを確認している。
 「ハジンのISIS組織の終わりは非常に近い」と述べた。
 また、ユニセフは、ヨルダンとシリアの国境にあるルクバンの難民居留地で2人の乳児が死亡したと述べ、ヨルダンとの国境にあり、数万人の人々が食糧や医薬品の不足の中で生活していると述べた。
 先月、国連とシリアのアラブ・レッド・クレセントは、1月以来初めて、ルクバンへの必需品の援助を組織した。」

US-backed Syria Kurds say fight against Islamic State threatened by Turkey

 劣勢になるイスラム国と、米国の支援を受けたクルド人武装勢力、それにイランの支持を受けた武装勢力の3すくみが現在のシリアの状況であると言えます。

 気になるのは、イスラム国の動向で、反米の雰囲気が充満すれば、湾岸の産油国の間からテロ資金が出される可能性があります。そうなると、再びニースやパリのテロのような大規模テロが行われる可能性があります。

 しかし、シリアの方でも、米軍の指示を受けた勢力と、イランの支持を受けた勢力の間で、中東での大戦の事前のリハーサルが行われる可能性が高いと言えます。イランの背後にはロシアが控えていますので、中東における米ロの対立という図式にもなりそうです。したがって、来年はアメリカとロシアの関係はさらに冷却化するといえそうです。

 その中でジョーカーの役割を果たしそうなのがトルコです。ロシアからはちゃっかり防空ミサイルS400を購入しておきながら、NATOの枠組には留まっており、サウジアラビアの皇太子による所謂カショギ氏暗殺事件では、サウジを非難するなど、しっかりと米国に近づき、サウジをけなす戦略を採っています。

 トルコには、密かにイスラム国を支援してきたという事情があり、トルコの動向で、シリアの状況が決定される事になりそうです。