３月の総選挙前のイタリア
EUは失敗でした。しかし、ドイツはそれを認めようとはしません。ドイツが意固地になればなるほど、それ以外の国の反発は大きくなります。反EUに舵を切りつつあるのがイタリアといえます。
「右派の北部同盟の指導者は、メルケル首相の巨大な影響がイタリアをはじめとする他のEU加盟国に被害を与えてきたと語っている。
彼は、地中海諸国にはEUの政策に関する発言権がほとんどなく、EUの方向性に影響を与える可能性は全くないと主張した。
北部同盟の指導者であるサルヴィーニ氏は次のように述べている。「アンゲラ・メルケルは、しばしば、ドイツ市民とドイツ経済の利益をEU全体の利益よりも優先している。この戦略はドイツにとっては恐らく良いのだが、イタリアにとっては実害をもたらしている。冗談を言わせてもらえれば、イタリアはフランスとドイツの特権的な関係が若干うらやましいのだ。イタリアは、ヨーロッパの方向性を決定する決断に影響を与える代わりに、既成事実を承認するように求められる存在に過ぎないという印象がある。」
彼は移民問題にも言及している。３月４日の総選挙の論点となっている問題だ。
彼は、「『国境の管理を取り戻すこと』が，北部同盟にとっての『最優先事項』である」とのべている。
サルビーニは「ヨーロッパ当局はばかげた難民の流入を停止しなければならない」共付け加えた。
北部同盟は、右派のフォルツァ・イタリアとフラテッリ・ディタリアと選挙前の連立合意を締結した。
この合意はブリュッセルを驚愕させた。サルビーニが親EU派のジェンティローニ首相と交代するかも知れないからだ。
サルビーニはEU離脱を公約には掲げていないが、EUの官僚機構に改革を求めている。
そして、共通通貨であるユーロに対して彼は批判的である。ユーロが崩壊すれば、全てが崩壊してしまうと主張しているのである。
昨年末に、サルビーニは次のように述べた。「それぞれ事情が異なる１８カ国が単一通貨を使用することは、長期的には機能しない。しかし、統計が何よりも重要である。共通通貨の導入以来、イタリアの負債は９０００億ユーロも増大したのだ。６名者ノーベル経済相を受賞した学者は、この実験は失敗だったと全員が述べている。我々はこれ以上この方針を採用するべきではない」
全体として、現在のEUに対する不満は、移民政策と共通通貨に絞られるといえます。現在まで、EU体制を支えてきたメルケル首相も、社会民主党SPDとの連立交渉が不首尾に終われば、引退という噂もあります。
EUを存続させるのであれば、EU圏内の人の移動の自由を認めているシェンゲン条約を見直さなければならないでしょう。しかし、そこまでEUが踏み込めるかと言えば、それも困難でしょう。ですから、EUは次第に立ち枯れていくことになります。
