UAEに接近する中国
中東でのアメリカの秩序を中国が崩し始めました。
「 中東の伝統的な親米国であるアラブ首長国連邦(UAE)と中国が急接近している。中国は自国製ワクチンや高速通信規格「5G」の技術をUAEに供与する。米国の中東での存在感が薄れるなか、力の空白を突いて中国が影響力を増している。
UAE保健当局は5月中旬、中国医薬集団(シノファーム)製の新型コロナウイルスのワクチンの3回目の接種を始める計画を公表した。
UAEを構成するドバイ首長国は10月に国際博覧会(万博)を1年遅れで開く。対策の切り札が中国製ワクチンだ。米ファイザーや英アストラゼネカ、ロシアのスプートニクVも確保したが、大半は中国からの輸入で支えている。
UAEの人口当たりのワクチン接種はイスラエルと並び世界最速ペースで進む。国民だけでなく居住権を持つ外国人にも無料で接種し、観光業を段階的に再開することに成功した。
3月にUAEを訪問した王毅(ワン・イー)国務委員兼外相との間で、UAEをシノファームの製造拠点とすることで合意した。新工場で製造開始し、第三国にも輸出する。
UAEはアプリを通じたワクチン接種やPCR検査の情報管理について中国の技術を取り入れ、テロ対策や反体制派の監視でも中国から学んでいるとされる。
5Gのインフラ整備でも米が懸念する華為技術(ファーウェイ)の技術を利用する見通しだ。中国人民銀行(中央銀行)デジタル通貨研究所はデジタル人民元の国境をまたいだ決済取引でUAEの中銀と研究を始めた。
UAE当局は4月、米国の永住権を持つ中国人の青年をドバイ国際空港で拘束した。青年は中国とインドの係争地を巡る衝突で中国側が公表した死者数にネット上で疑問を呈し、中国当局に指名手配を受けていた。
UAEは中国と犯罪人引き渡し条約を結んでいる。AP通信によると米国が拘束に懸念を示し、青年は5月27日釈放されたが、中国との緊密な連携を示した形だ。UAEは米欧が非難する新疆ウイグル自治区の人権問題など中国の「核心の利益」と2022年の北京冬季五輪への支持も打ち出している。
UAEやサウジアラビアなど湾岸アラブ産油国は脱石油依存の改革を進めており、付加価値税(VAT)の導入など国民の負担は増している。石油収入の分配システムを見直す過程で、民主化要求の圧力が高まるとの見方は根強い。アラブ指導者らは「欧米流の民主主義」を否定しながらめざましい経済発展を遂げた中国を有力モデルと位置づけている可能性がある。
米国がアジアを重視し中国への警戒を強める一方で、イラク駐留米軍を縮小するなど中東への関与は薄れている。この隙を突き、中国は中東で影響力を強める。イランと25年間にわたる長期の戦略協定を結び、全方位外交を展開しようとしている。中東を切り崩すほど、バイデン米政権が対中圧力に向ける余力がなくなるとの読みもありそうだ。
アラブ諸国は中国への不信感を抱えながら、中東撤退を急ぐ米国へのけん制カードとして対中関係を位置づけている構図だ。
米国ではUAEの対中接近に警戒感が広がる。トランプ前政権はUAEに最新鋭ステルス戦闘機「F35」の売却を約束した。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、バイデン政権は技術が第三国に流出することのないよう確約を求めており、売却実現に影を落としているという。」
中国、親米UAEと急接近 米に代わり中東で存在感: 日本経済新聞
ここにきてUAEがアメリカ離れです。ワクチンは仕方がないにしても、ファーウェイの機器の採用は、アメリカの中国包囲網が敗れたことになります。
UAEはサウジアラビアにいたる正門と言えます。ここを越波されると、アメリカの中東雲兵は危機に瀕します。バイデンだめだなあ。